研究課題/領域番号 |
24560052
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
須田 亮 東京理科大学, 理工学部, 教授 (80250108)
|
キーワード | 非線形光学 / バイオイメージング / 分光 |
研究概要 |
適応制御法により、光褪色を軽減した蛍光発光に最適な二光子励起法を探索した。適応制御法とは、空間光変調器によって励起光に与える振幅・位相変調を試行錯誤的に変化させて、目的とする事象が最大となるような振幅・位相変調関数を求めていく方法である。 今回、緑色蛍光タンパク質に対して、光褪色を起こさずに二光子励起蛍光が最大となるような振幅・位相変調関数を求めたところ、スペクトル位相に依存せず、スペクトル振幅のみに依存して光褪色が軽減した。これは、蛍光タンパク質の第一励起状態から一光子吸収により第二励起状態に遷移し、そこを経由して褪色に至ることを示唆する結果である。また、前年度にフーリエ変換非線形分光法で計測した光褪色スペクトルのピークを回避するように振幅制御が行われており、分光計測を裏付ける結果が得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高解像度のLCOS型空間光変調器の導入により、適応制御による光褪色抑制に対するスペクトル位相、あるいはスペクトル振幅の最適化が可能となったが、両者を同時に最適化することが困難であった。新たなアルゴリズムの開発が必要であり、実施中である。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度までに確立した方法により、さまざまな蛍光タンパク質に対して、光褪色を起こさずに2光子励起蛍光が最大となるような振幅・位相変調関数を求めていく。 また、本研究課題のまとめとして、光褪色を起こさずに蛍光発光を効果的に引き起こすための2光子励起法を示し、2光子蛍光イメージングに適用する際の指針を策定する。すなわち、個々の蛍光タンパク質に関する光褪色スペクトルや適応制御で得られた位相変調関数を、顕微鏡下のイメージングに応用するためのデータベースに取りまとめる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
国内学会出張(京田辺、北九州)の支出が予定より少なく済んだために生じたものである。 物品購入費、ならびに国際会議出張(CLEO 2014、Ultrafast Phenomena 2014)旅費の一部として使用する予定である。
|