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2013 年度 実施状況報告書

プラズマ計測用2波長同時発振型レーザー発振の確立

研究課題

研究課題/領域番号 24560053
研究機関中部大学

研究代表者

中山 和也  中部大学, 工学部, 准教授 (40434584)

研究分担者 秋山 毅志  核融合科学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (80370138)
キーワードレーザー / テラヘルツ / プラズマ計測 / 干渉偏光計測
研究概要

大型で高密度化するプラズマ装置における核融合プラズマ計測では,波長50μm帯のテラヘルツレーザーを用いた新しい計測システムが必要とされているが,光と電波の谷間に位置するこの領域では,光源を含め,計測手法が確立していない.そこで,レーザー発振線の探査,計測手法の開発,その構成要素の開発を進めている.これらと並んで重要な課題は,計測システムの高信頼性を実現するための安定なレーザー発振の確立である.本研究では,長時間安定動作する2波長(48-μm,57-μm)同時発振型CH3ODレーザーの安定化システムを構築する.本年度実施し,得られた研究成果を以下にまとめる.
1. 干渉計測では,数百kHz~数MHzのヘテロダインビート信号の位相変化からプラズマの電子密度を求める.そこで,2本のレーザー管を持つ双子型レーザー装置を用いて,2波長ビート信号の同時検出を試みた.双子型レーザー装置の一方をプローブ,他方を局部発振器として用い,ショットキーダイオードミキサーによりヘテロダイン検出した.その結果,干渉計測に十分なS/Nを持つ2波長ビート信号を検出した.例えば,2波長レーザーのビート周波数が,0.6 MHzと1.2 MHzとなるように共振器長を設定した場合,約17 mWの入力に対して,2波長共に約40 dBのS/Nを得た.
2. 双子型レーザー装置の共振器長をステッピングモーターで制御し,出力とビート周波数の同時安定化を試みた.双子型レーザー装置の一方はフリーランニングで,他方はビート周波数が一定になるように共振器長制御することが望ましいことが分かった.2波長ビート信号をフィルターで分離し,48-μmレーザーのビート信号を制御信号として用いることで,2波長共に±18 kHz/h.の安定度を得た.このとき,4本のレーザーの出力安定度は,±2 %~±5 %/h.で,出力は合計で0.5 Wあった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

長時間安定動作する2波長同時発振型THzレーザーの安定化システムを実現するために,25年度は,2本のレーザー管を有する双子型THzレーザー装置を用いて,2波長ヘテロダインビート信号の同時検出と共振器長制御による2波長ビート周波数の安定化,更に合計4本のレーザービームの出力とビート周波数の安定化を計画した.
研究実績に記載したように,当初の計画通り研究を進め,次年次以降の研究につなげる成果を得ることができた.よって,目的達成のため順調に研究が進展していると評価する.

今後の研究の推進方策

研究目的を達成するために,今後行う研究課題を以下にまとめる.
1. 光学ダイプレックサによる偏光面の一致: 48-μm,57-μmレーザーは,偏光方向が互いに直交しているため,これを揃える必要がある.現有のマーチン・パプレット型のダイプレックサは,調整器機構が無く変換効率が悪い.そこで,調整機構を追加し,変換効率を上げる.
2. 干渉・偏光計への適用: 最終的には,干渉・偏光計のテストスタンドにて,安定化させた2波長同時発振型THzレーザーの長時間の動作テストを実施し,それを評価する.
以上の研究を推進し,長時間にわたって安定した2波長同時発振を実証し,48-μm,57-μm CH3ODレーザーを計測用レーザーとして確立する.

次年度の研究費の使用計画

レーザー実験を行うには,多数の光学素子(ミラー,ビームスプリッター等)や光学基本機器(ホルダー,ベースプレート等)が必要となる.本実験の光学系を組むにあたり,既存の機器では足りない分を購入した.その結果,少額であるが残額が生じた。
本研究で開発するCO2レーザー励起のTHzレーザー装置は,励起用レーザー媒質としてヘリウムガスとCO2/N2混合ガスを,THzレーザー媒質としてCH3ODを使用する.26年度は,THzレーザーのヘテロダインビート信号の検出器/ミキサーとしてフォトコンダクターの使用を考えており,これには液体ヘリウムと液体窒素による冷却が必要である.また,レーザー装置に使用する回折格子や出力鏡は,高出力のレーザー光によるダメージを受けるために定期的な交換が必要である.
これら消耗品費に加えて,本研究内容に密接に関係する国内外の学会にて,研究成果の発表及び最新の研究情報の収集に努めるための旅費として,本研究費を使用する計画である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Development of a powerful and stable pump 9R(8) CO2 laser for 48-μm and 57-μm CH3OD laser2013

    • 著者名/発表者名
      K. Nakayama, S. Okajima, K. Kawahata, K. Tanaka, T. Akiyama
    • 雑誌名

      Annual report of national institute for fusion science

      巻: April 2012 - March 2013 ページ: 172-172

  • [学会発表] 高密度・大型核融合装置のための二波長同時発振型短波長遠赤外レーザーの開発と応用2013

    • 著者名/発表者名
      中山和也,岡島茂樹,川端一男,秋山毅志,田中謙治,徳沢季彦
    • 学会等名
      プラズマ・核融合学会 第30回年会
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      20131203-20131206
  • [学会発表] ニュートリノ崩壊光子探索用STJ検出器の較正に用いる遠赤外分子レーザーの性能評価2013

    • 著者名/発表者名
      小村祥太,折笠桂輔,廣瀬龍太,吉田拓生,岡島茂樹,中山和也,金信弘,武内勇司,小川勇
    • 学会等名
      日本物理学会 2013年 秋季大会
    • 発表場所
      高知大学
    • 年月日
      20130920-20130923
  • [学会発表] プラズマ計測用50 μm帯CH3ODレーザーの励起9R(8)CO2レーザーの安定化2013

    • 著者名/発表者名
      中山和也,岡島茂樹,田中謙治,秋山毅志,川端一男
    • 学会等名
      第74回応用物理学会秋季学術講演会
    • 発表場所
      同志社大学
    • 年月日
      20130916-20130920
  • [学会発表] Frequency Stabilization Of A Pump 9R(8) CO2 Laser For Simultaneously Oscillated 5.2- And 6.3-THz CH3OD Lasers2013

    • 著者名/発表者名
      K. Nakayama, S. Okajima, K. Kawahata, K. Tanaka, and T. Akiyama
    • 学会等名
      38th International Conference on Infrared, Millimeter, and Terahertz Waves 2013
    • 発表場所
      Mainz, Germany
    • 年月日
      20130901-20130906

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公開日: 2015-05-28  

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