研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、口径が波長より十分大きいオーバーサイズのコルゲート導波管中を伝送される定常大電力ミリ波の強度分布及びビーム中心位置を実時間で熱的に計測するシステムを用いて、得られたそれらの強度分布データのみにより、位相再構成法及び最適化フィッティング法により、導波管内の伝搬モード成分分析を行い、伝送効率の向上を図るための情報を得ること可能にすることである。無擾乱でミリ波の強度分布を測定できるミリ波強度分布モニターは、銅製のミリ波反射板の冷却側に直列に結線された52個のペルチェ素子アレイから構成されている。平成24年度には、大電力ミリ波伝送系に、少なくとも2台のミリ波強度分布モニターを、HE11モードと低次の不要モードとのビート波長以上離れた位置にあるマイターベンド反射鏡部に設置する必要があるため、そのミリ波強度分布モニターの駆動定電流電源と電圧測定系をTCPネットワーク上で制御できるように、ネットワークから制御が可能な定電流電源と高速多チャンネル電圧測定系を調達、準備した。それらをシーケンスに従って動作、制御するプログラムを作成し、円形状ヒーターを模擬熱源として用い、反射鏡の冷却面側の温度変化を電圧変化の形で測定できることを確認した。モード解析の手法としては、主モードのHE11モードとモード変換が予想されるいくつかの低次の導波管内伝搬可能なモードを仮定し、それらの振幅と位相を未知数として、測定された強度分布を最適フィッティングすることによって、それらのモード成分を分析する方法の検討を進めた。その手法は、感熱紙を用いた測定結果に適用され、十分に導波管内の伝搬モードの成分分析に適用できることが証明され、その結果は論文としてまとめられ、出版されている。
2: おおむね順調に進展している
ミリ波の強度分布モニターとしては、マイターベンドの反射鏡の冷却側にペルチェ素子を配列したもので、高空間分解能をめざし8 × 8 矩形のペルチェ素子(実効的には 52 素子)よりなるミリ波強度分布モニターを製作した。平成24年度には、このミリ波強度分布モニターを離れた複数箇所(最低 2 箇所)で、同時に信号を取得できる必要があるために 定電流電源系と、多チャンネル A/D コンバータをネットワーク上に構築した。模擬熱源を用いて、マイターベンド反射鏡の温度上昇を電圧変化の形で測定できることを確認した。熱解析ソフトウェアANSYS等を用いた熱解析については、予備的計算のみであり、まだ不十分である。モード分析法については、モード変換の可能性がある低次の有限個のモードを仮定し、それらの振幅と位相を未知数として、測定されたミリ波強度分布を最適化フィッ ティングすることにより強度分布を再現し、構成モードの成分を求める方法がほぼ確立している。これを実際の取得データからリアルタイムで分析できるようにするのが課題である。位相再構成法を用いたモード分析法については、その原理的手法は確立しているが、リアルタイムでの解析が未着手である。
ミリ波強度分布モニターシステムにおいては、2台目のシステムの完成を急ぐとともに、データ収集、解析用ワークステーション、及びソフトウエアを調達する。これにより複数箇所でのミリ波強度分布モニターを遠隔で制御、データ収集ができるようになる。その解析結果に基づき、オーバーサイズコルゲート導波管よりなるミリ波伝送路において、ミリ波強度分布モニターの設置場所、モード分析に最適な距離、間隔等の検討を実験的に比較、検討する。データ解析については、前年度の最適化フィッティング法の高精度化を進める。同時に従来行われてきた位相再構成法の改良、リアルタイム化も進める。得られた結果は、国内学会及び国際会議等で発表する。また論文としてまとめる。高電力ミリ波を用いた実際のコルゲート導波管での試験は、システムのプラズマ実験での使用スケジュール(9月から12月に使用予定)を考慮して調整する必要がある。
該当なし
すべて 2012 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
Fusion Science and Technology
巻: 62 ページ: 023022
Review of Scientific Instruments
巻: 83 ページ: 10D731
10.1063/1.4740257
Plasma and Fusion Research
巻: 7 ページ: 2405061-1 -4
10.1585/pfr.7.2405061
巻: 7 ページ: 2402020-1 -4
10.1585/pfr.7.2402020
巻: 7 ページ: 2402110-1 -5
10.1585/pfr.7.2402110
http://www.nifs.ac.jp/index-j.html