研究課題/領域番号 |
24560067
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
坂佐井 馨 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門・J-PARCセンター, 研究主席 (00343913)
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キーワード | 輝尽性蛍光体 / 低ガンマ線感度 / 熱中性子 / 高速中性子 |
研究概要 |
輝尽性蛍光体を用いて、熱中性子から高速中性子までの広い領域におけるイメージングを行うため、ガンマ線感度が低く、母体に中性子有感物質を含む輝尽性蛍光体とラジエータを混合する方法を用いて実験を行った。母体に中性子有感物質を含む低ガンマ線感度の輝尽性蛍光体としては、SrBPO5:Eu2+を、ラジエータとしてはポリエチレンを用いてサンプルを作成し、そのスペクトル特性やα線照射による輝尽性蛍光特性等の基礎特性を測定した。なお、SrBPO5:Eu2+蛍光体はLi2B4O7を添加すると熱中性子感度が上昇することが既に判明しているので、Li2B4O7をモル比で0.25混合したものを作成した。 SrBPO5:Eu2+とLi2B4O7のモル比を一定にしたまま、ラジエータの混合割合を変化させたサンプルを作成し、高速中性子の照射特性を調べた。高速中性子源としては、原子力機構の核融合中性子工学用中性子源(中性子エネルギー14.8MeV)を用いた。また、これと並行して、輝尽性蛍光体の出力を決定する輝尽性蛍光体へのエネルギー付与を評価するための理論式を導出すると共に、PHITSによるシミュレーション計算を行った。シミュレーション計算と理論式による解析計算の結果と実験結果はほぼ一致し、最大の輝尽性蛍光出力が得られるのは、ラジエータを含まない場合であった。したがって、SrBPO5:Eu2+とLi2B4O7のみでも高速中性子を検出可能であることがわかった。これは、高速中性子と酸素原子との散乱によって高速な酸素原子によるエネルギー付与が生ずるためであることがPHITSの計算結果から結論された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、母体に中性子有感物質とラジエータを用いた方法を行い、計画通りである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、本研究課題の最終年度として研究計画通り、昨年度及び一昨年度の結果その研究結果を踏まえ、幅広いエネルギーの中性子検出に対してどの方法が有効かを検討する。選定基準は中性子感度や位置分解能等である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の物品費として使用するため。 次年度の物品費に充当させる。
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