研究課題/領域番号 |
24560068
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
大場 弘則 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (60354817)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | プラズマ / ブレークダウン発光分光 / 液膜生成プラズマ / 高感度分析 |
研究概要 |
本研究では、水溶液の超薄膜化によって得られるレーザー誘起ブレークダウン発光分光(LIBS)発光増大効果のメカニズムを解明し、混合溶液溶存元素の高感度検出を目指す。今年度は、原子力機構外での実験を想定して可搬型の液体超薄膜生成システムを製作し、比較的容易に発光が観測されるナトリウム水溶液を用いてレーザー照射時の発光部時間空間分解観測を行ってプラズマの動的挙動を調べた。 プラズマの挙動実験では、液柱と液体シートの2種類のフロージェットを用意して液体形態の比較を行い、シャドウグラフ法によりフロージェットの形状変化を観察した。その結果、レーザー照射による衝撃波の伝播の後、フロージェットから飛沫が噴出し、飛沫噴出の形態は液柱フローと液体シートフローとでは大きく異なることが分かった。液柱フロージェットではレーザー入射の双方向に多量の飛沫が噴出飛散する。一方液体シートフロージェットではレーザー入射方向のみ飛沫が噴出し、その量も少ない。多量の飛沫の存在は、プラズマ発光の検出系への導入を遮るだけでなく、プラズマの吸収も引き起こす。水分子の多い液柱では、正確なプラズマ発光スペクトルが観測できていない可能性がある。よって、高感度分析にはできるだけ水分子の量の少ない液体フロージェットを適用することが良いことを示した。 また、液体薄膜ジェットを用いた単一試料水溶液のLIBS測定を行い、誘導結合プラズマ発光分光分析において難分析性元素とされているルビジウムやセシウム等アルカリ金属元素が本液体LIBS法の適用により高感度で分析できることを初めて示した。発光強度は溶存元素濃度が10 ppbから100 ppmの範囲で優れた直線性を示し、この範囲での検量線法による定量分析が可能なことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、可搬型の小型液体超薄膜生成システムの構築が円滑に行われ、連携研究者である伊藤義郎長岡技術科学大学教授の協力により、ゲート付CCD検出器および高速度ビデオカメラとLIBS装置を組合せた液体形状測定ができるようになったため、計画は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
シャドウグラフ法で液体シートフローを用いることにより、液体LIBSが高感度で分析出来ることが示された。この方法を用いて液体の膜厚やフロー速度等細部を詳細に観察し、高感度分析の最適観測条件を見出す。それ以外は年度計画に基づいて研究を行うこととする。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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