研究課題/領域番号 |
24560069
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
高橋 由美子 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 研究員 (70339258)
|
研究分担者 |
早川 恭史 日本大学, 理工学部, 准教授 (40307799)
平野 馨一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (40218798)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | イメージング / 密度 / マクロ構造 / 放射光 |
研究概要 |
本研究は、単色X 線を用いた3D イメージングで結晶分布を視覚化し、マクロな結晶状態とミクロな結晶情報の同時取得を可能にする方法の確立を目的とする。H23年度は光学系の構築と性能調査を中心とする研究を行った。 (1) 放射光を用いた光学系の作製 本研究の目的のために必要なX 線の単色性・エネルギー可変性を確保し安定なビームが得られる放射光を光源とする光学系を構築した。実験はKEK-PF BL14Bで行った。二結晶モノクロメータによって単色化したX 線を試料に照射して透過X 線像を得る。このとき試料と検出器の間にブラッグ条件を満足する角度で単結晶(第三結晶)を置き、試料によって回折・散乱したX線を除去した像が得られるようにした。角度調整のため第三結晶は1/10000 度以下の角度分解能を有する高精度ゴニオメータに取り付け光軸上に配置した。試料は360 度回転可能なゴニオメータ上に設置し、光軸に垂直な軸回りの試料回転によって画像を取得する。検出器にはピクセルサイズ6.8μm、空間分解能約15μmのX 線CCD カメラを用いた。 (2) 密度分解能の評価 本光学系で識別可能な密度差の下限を決定するため、ショ糖溶液中にプラスチックボールを入れ、溶液濃度を変化させて密度差を調整した試料の透過像を撮影した。通常の光学系で検出できる密度差の測定限界は1.1 g/cm3であるのに対し本光学系では0.1~0.2 g/cm3まで識別できる。さらにDEIの手法を取り入れることによって0.01 g/cm3以下まで識別可能であることが分かった。これによって本研究の基礎となる性能が得られたことになる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画どおり光学系を構築し性能評価を行った。それによってほぼ予測どおりの結果が得られ次のステップに進むための見通しがついたため。
|
今後の研究の推進方策 |
密度分布のある試料の測定を行い、効果を確認してゆく。当初の予定では無機結晶/非晶質物質だけを対象としていたが本測定方法は液体や有機物質にも効果が得られると考えられるため、応用範囲の拡大も図る。 また測定データ解析のためのプログラムを作成する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
H24年度は電子比重計が予定より安価で購入できたため次年度使用額が生じた。この分は本年度購入予定のソフトウェアの性能アップ、試薬類の増強等消耗品費として使用する予定である。 第三結晶として使用するシリコン単結晶は使用するX線エネルギーに応じて適切な回折面を選択する必要がある。このため必要な回折面を有するシリコン単結晶(約500,000円)を購入する。また試料測定の増加に伴い大量の画像データを処理することになるので高性 能(OS:64bit、CPU: Corei5 2.0 GHz以上、メモリー:32GB以上)PCが必要である。このため、PC、ソフトウェア、周辺機器等(合計約400,000円)を購入する。日本大学における実験準備のための測定機器の整備も進める。これらは消耗品として調達予定で試薬類などの消耗品と合わせて1450,000円程度を想定している。また、研究成果の発表のため、国内旅費・論文投稿費等で420,000円程度を使用する予定である。
|