研究課題/領域番号 |
24560069
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
高橋 由美子 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 研究員 (70339258)
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研究分担者 |
早川 恭史 日本大学, 理工学部, 准教授 (40307799)
平野 馨一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (40218798)
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キーワード | イメージング / 密度 / マクロ構造 / 放射光 |
研究概要 |
本研究は単色X 線を用いた3D イメージングで結晶分布を視覚化し、マクロな結晶状態とミクロな結晶情報の同時取得を可能にする方法の確立を目的とする。H25年度は構築した光学系を用いて評価方法の検討を中心とする研究を行った。 (1) 密度差の検出実験 : これまの研究により本光学系で識別可能な密度差の下限は0.1~0.2 g/cm3であることが明らかになったので、密度差が検出限界内であることが自明の試料を用いて実際のイメージング実験を行った。試料は炭素の結晶多形であるダイヤモンド・グラファイト・カーボンブラックで密度はそれぞれ3.5、2.3、~2.0 g/cm3である。入射X線エネルギーを変化させるなど幾つかの条件下で測定を行い、効果を検討している。 (2) 応用の拡大 : 本研究は多結晶体への適用を想定していたが、単結晶へと応用範囲を拡大することを検討している。この場合にはトポグラフィーの光学系を基本とするためCT測定のような3D画像は得られないが、試料深さ方向の感度を変化させた測定によって疑似的に3次元の情報が得られる。この可能性を確認するため、炭化ケイ素単結晶を試料とし、通常のトポグラフィー測定などによる基礎情報の収集を行った。 (3) 実験・解析方法の整備 : 測定データの再構成(CT化)では研究分担者(平野)の作成した画像処理ソフトを用いることで高速・高精度の解析が可能になった。また、パラメトリックX線を光源とする実験の準備も進められ、研究分担者(早川)によりCT自動測定機能が付与された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗状況は概ね計画どおりであるが、応用範囲の拡大の可能性が高まったことは計画以上の進展であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
評価方法の検討をすすめ、応用範囲の拡大を図る。特に多結晶体試料での結晶多形の識別・単結晶試料での歪分布などをターゲットとしてより具体的な効果が期待できる評価を試みる。また、パラメトリックX線を利用した大型試料への展開も図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度の繰り越しに加えH25年度購入予定であった高精度回転ステージを施設保有設備で代用したため次年度使用額が生じた。 次年度使用額は主として研究の進展により新たに必要が生じた原子核乾板(約300,000円)、大量の画像データ処理の効率化を図るために必要な高性能PC(約200,000円)と周辺機器の購入に充当する。日本大学における実験準備のための測定機器の整備も進める。これらは消耗品として調達予定で、試薬類など他の消耗品と合わせて全体で950,000円程度を想定している。また、研究成果の発表のため、国内旅費・論文投稿費等で360,000円程度を使用する予定である。
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