研究課題
従来に比べて1桁高速化するために、大規模解析に有効な前処理による5倍以上の高速化、解法の工夫や計算機実装レベルの最適化による2倍以上の高速化を目指している。具体的には、我々が構造解析分野等でその有効性を示してきたBDD(Balancing Domain Decomposition)前処理に関する研究成果を分野ごとに必要な独創的工夫を加えて他の応用分野に展開することを試みている。粘性流解析は、基礎方程式が構造解析と比較的似ており、早く成果を出せる可能性があった。既に線形対称系のStokes流については一定の成果を出しており、これを非線形のNavier-Stokes方程式や熱対流方程式の場合に拡張してきた。共同研究者とのこれまでの研究により、特性曲線法を利用することで、非定常解析については線形対称系のStokes流における成果がほとんどそのまま適用できることを示してきた。平成24年度前半までに、非定常Navier-Stokes方程式の場合を完成し、さらにその成果を非定常熱対流解析に拡張し、平成24年度中にはADVENTURE_sFlowの非定常版の新バージョンを実用レベルにし、平成25年度はいくつかの改良を行った。磁場解析は、これまでの研究によって画期的な方針が固まっているので、平成24年度に磁場解析への前処理適用方法を確立させた。平成25年度はこの方針に基づきプログラムの実装を試みたが、まだ完成しておらず、平成26年度中に完成させる予定である。研究代表者は上記研究を統括するだけではなく、その過程を通して領域分割法のインターフェース問題を記述する連立1次方程式を解く際の前処理行列の統一的構築方法を確立し、共役勾配法から最小残差法への変更等の解法の改良も含めて見通しのよい高速化を実現しようとしている。
3: やや遅れている
静磁場のBDD前処理の実装のデバッグをこの1年間集中的に行ったが、まだ完成していない。プログラムが複雑なことと、担当者が何度も交代したため、情報伝達に時間がかかっているためである。
平成26年度は最終年度なので、周囲の研究者の力も借りながら何とか完成させる予定である。幸い、若い研究者が育ってきているので、彼等の力を活かしながら総合力を駆使して完成させたいと思っている。2014年度は日本女子大学理学部に常勤するので落ち着いて仕事ができるのも好都合である。
使用予定ライブラリの開発が少し遅れたため、2014年度に開発を遅らせる必要が生じた研究項目があった。そのための予算として意識的に次年度使用額を残した。2014年度は最終年度なので、当初予定分と一緒にしっかり使用する予定。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
Theoretical and Applied Mechanics Japan
巻: Vol. 62 ページ: 印刷中
IEEE Transactions on Magnetics
巻: Vol.49, No.5 ページ: 1565-1568
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Journal of Computational Science and Technology
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DOI10.1007/s13160-013-0111-7