研究課題/領域番号 |
24560076
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高橋 規一 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (60284551)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 大域クラスタ係数 / マルチエージェントネットワーク / 代数的連結度 / 非線形回路網 / Ω行列 / 大域収束性 / 乗法型更新 / 非負値行列因子分解 |
研究概要 |
本年度の主要な成果は,1) 大域クラスタ係数を最大または極大にするネットワークの特徴付け,2) マルチエージェントネットワークにおける代数的連結度計算のための新手法の提案と妥当性の証明,3) あるクラスの非線形回路網から得られる非線形代数方程式の解集合の解析,4) 非負制約付き凸2次計画問題のための修正乗法型更新式の提案と大域収束性の証明,5) 非負値行列因子分解のための各種乗法型更新式の有界性の証明,である.1) では,与えられた頂点数と辺数をもつネットワークの中で大域クラスタ係数を最大または極大にするネットワークの特徴について調べ,平均局所クラスタ係数の結果と大きく異なる場合があることを明らかにした.2) では,Yangらの代数的連結度計算法よりも簡潔かつ高速な方法を提案し,それがほとんどすべての初期状態に対して真値に収束することを理論的に証明した.3) では,ある種の非線形回路網から得られる非線形代数方程式の解集合の性質を詳細に解析し,解集合が二種類のタイプの曲線に限られることを証明した.4) では,Shaらによって提案された,非負制約付き凸2次計画問題のための乗法型更新式の問題点を指摘し,それを解決するための修正乗法型更新式を提案して大域収束性を証明した.5) では,非負値行列因子分解の計算法として広く用いられている11種類の乗法型更新式を考察し,11種類のうち8種類については,更新式にわずかな修正を加えるだけで変数の有界性が保証されることを証明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に実施予定だった「クラスタ係数を最大にするネットワークの特徴付け」と,平成25年度以降に実施予定だった「群ロボットにおける連結性保持アルゴリズムの設計」が順調に進展している.後者については前倒しの実施になったが,想定の範囲内である.また,これらに加えて非線形回路方程式の解析や非負制約付き最適化問題に対する修正乗法型更新の提案など,周辺テーマについても成果が得られている.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に実施予定だった「高速合意形成のためのマルチエージェントシステムの接続構造最適化」と平成25年度以降に実施予定の「群ロボットにおける連結性保持アルゴリズムの設計」,「高速同期のための結合振動子ネットワーク最適化」,「実時間信号処理のためのニューラルネットワーク最適化」に重点を置いて研究を進めていく.また,平成24年度に得られた成果をまとめて学術論文誌に投稿する.
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次年度の研究費の使用計画 |
数値計算用計算機の購入,成果発表のための国内・国外旅費,論文誌投稿料,国際会議参加費等,計画通りに使用する予定である.
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