研究課題/領域番号 |
24560077
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 会津大学 |
研究代表者 |
林 隆史 会津大学, コンピュータ理工学部, 教授 (20218580)
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研究分担者 |
束原 恒夫 会津大学, コンピュータ理工学部, 教授 (10433153)
渡辺 曜大 会津大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (70360675)
宮崎 敏明 会津大学, コンピュータ理工学部, 教授 (70404895)
丁 数学 会津大学, コンピュータ理工学部, 教授 (80372829)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 系列設計 / 物理計測 / 著音波イメージング / 無線通信 / レーダー / 相関関数 |
研究概要 |
平成24年度は、主に以下の点について研究を進めた。 1)サブセットを持ち、異なるサブセット間に属する系列の相互相関関数の零相関範囲が同一のサブセットに属する系列の相互相関関数や自己相関関数の零相関範囲よりも広い零相関範囲系列セットの新しい構成方法や応用方法の発見と、応用システムの評価。2) ピーク値を系列の二乗和の平方根で割った値、すなわちピーク比をさげることで、通信におけるエネルギー伝送効率や計測におけるSN比を高めることを目的とした、低ピーク比零相関範囲系列セットの構成方法と応用方法の検討。3) 自己相関関数が位相差0以外で零値をとる完全系列の数理的検討。4) 相関現象をとらえるための新しい物理計測方法の検討。5)秘密分散法への零相関範囲系列セットの応用方法の検討などを行った。その結果、1)については、数種類の新たな系列生成法を発見・考案し、学術論文や国際学会へ投稿したり、発表した。2)についても、研究代表者が発見した低ピーク比疑似白色雑音構成法を拡張することで、新たな系列構成方法を発見し、学術論文として投稿した(審査中)。特に、よく研究されている3値系列よりも高いピーク比の系列セットを3値系列セットよりも生成される系列長や本数の制約を少なくしたものを構成することができ、応用システムについてにシミュレーションでも良好な結果を得ることができた。3)についてのいくつかの知見を得ることができたので、学術論文として発表した。4)については、研究協力者と協力しながら、新しい物理測定法についての検討を進めることができた。5)については、画像を用いた秘密分散方法と低ピーク比疑似白色2次元系列や2値零相関範囲系列との組合せについて、いくつかの知見を得た。その他に、リアルタイムセンサーデータへの系列の応用について、いくつかの知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、新しい系列構成法や、系列の応用システムの改良、新たな応用方法の開発について、当初の計画以上の成果をあげることができた。特に、研究例の多い3値系列セットよりも、構成の自由度やピーク比(系列のピーク値を系列の二乗平均平方根(RMS)値で割った値)についてより優れた系列の構成的生成方法やより高いSN比を実現する系列ペアの構成方法などで、当初よりも多くの成果を得ることができた。 サブセットを持ち、異なるサブセット間に属する系列の相互相関関数の零相関範囲が同一のサブセットに属する系列の相互相関関数や自己相関関数の零相関範囲よりも広い零相関範囲系列セットについては、当初計画通りの成果を得ることができた。新しい光学顕微鏡測定方法の検討は、ほぼ当初の計画通りの進展であった。また、秘密分散方法への応用は、画像への応用で計画通りの進展となり、、情報基盤への組み込みについても、新しい成果を得ることができた。 新しい構成法や応用の発見や新しい知見については、当初計画以上に進展したが、その成果のうち一部が、まだ学術論文などへの投稿準備中である。 これらの点を総合して、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、以下の研究を予定している。 (a) 新しいZCZ 系列の生成方法についての研究。 1)異なるサブセットに属する系列の相関関数の零相関範囲が広くなるようにするための理論的条件や理論的限界の検討。Hamming 距離などを含めた様々な距離の概念を用いて、サブセットとサブセットの間の距離を定義し、その距離にほぼ比例するような零相関範囲を持つ系列の検討。これによって、応用システムの設計をより簡単にできるようにすることを目指す。研究の進捗状況に応じて、全く新しい系列生成方法も検討する。本研究で開発する系列セットや新しく導入した概念の有効性を証明するために、応用システムのシミュレーション等による性能評価などを行う。 (b) 新しい応用システムの提案・開発についての検討 1)系列を用いた複数点同時光散乱解析システムの検討を連携研究者(山本)とともに進める。研究が予定どおりに進まない場合には、システムの構成などを柔軟に変更しながら研究を進めていく。2)無線システムへの応用について、分担者(束原、宮崎)が中心になってFPGA化の検討を行う。3)計測システムへの応用について、誤差の定量的評価を行い、提案システムを実際の計測に応用する方法について検討する。4)音声・画像への暗号組み込み応用については、初年度に引き続きシミュレーションと簡単な信号生成・取り込み装置を作成した評価実験とシステムの改良を行っていく。5)大規模センサーネットのデータの同期を行うための系列の応用方法を検討する。単に時刻情報を付加すると、ネットワーク帯域に悪影響を及ぼすため、系列をつかうことでデータ量の増加をおさえながら同期を可能にする方法を検討する。 研究の進捗に遅滞が生じそうな場合には、遅滞の原因の究明/解消を行うとともに、4つのテーマの比重を調整して、研究課題としての成果を確保する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、1)研究を進める上で必要なソフトウェアのライセンス使用料、2)実験システム作成に必要な部品、3)参考にする論文や書籍などの検討用資料の費用、4)論文の英語校正、5)学会参加費、6)論文別刷り代を主なものとして予定している。それ以外に、連携研究者との打合せや学会参加のための旅費や検討に必要な作業の補助作業の費用などを予定している。
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