研究課題/領域番号 |
24560079
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
長嶋 利夫 上智大学, 理工学部, 教授 (10338436)
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研究分担者 |
末益 博志 上智大学, 理工学部, 教授 (20134661)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 計算力学 / 拡張有限要素法 / 複合材料 / き裂進展 |
研究概要 |
FEMプログラムに、CFRP構造のはく離、き裂進展現象のモデル化に用いられるCamanhoによる結合力モデルを導入した二次元および三次元インターフェース要素を導入した.このプログラムに実装した非線形解析の手順は、本研究で今後開発するXFEM解析プログラムの原型となる. 一方、ヘビサイド関数のみを拡充したXFEMを提案し、二次元三角形要素を用いたXFEMプログラムを開発した.開発プログラムを用いて、線形破壊力学に基づくき裂進展解析を実施し、その妥当性を確認した.このプログラム開発によりTIP要素作成の手順を確立することができた.その成果を論文に発表した. 上記二つの成果を用いたXFEMと結合力モデルを組み合わせた方法により、CFRP構造のはく離とマトリクス割れを考慮した損傷進展解析が可能であることを、二次元問題について実証した.開発手法においては、はく離は通常のFEM解析で用いられるインターフェース要素でモデル化され、マトリクス割れはXFEMにより有限要素メッシュと独立にモデル化される. 結合力モデルを用いた損傷進展解析は、標準的には陰解法に基づく静解析により実施される.しかしながら、今後適用する実構造における複雑な損傷進展問題では、収束性に問題が生ずることが予想される.そこで、そのような場合にも対処できるようにするために、動的陽解法を用いた手順についても検討し、そのような機能を開発プログラムに追加した. 以上、本年度は、本研究の目標であるCFRP積層構造におけるはく離とマトリクス割れの連成を考慮した損傷進展解析の原型となる、2次元XFEMプログラムの開発整備を実施し、解析機能の妥当性を検証することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で用いる拡張有限要素法(XFEM)、結合力モデル(CZM)による基本解析機能について定式化、プログラム設計を実施した.XFEMについては、CZMと組み合わせるために、漸近解基底を用いずにヘビサイド関数だけを拡充させて変位の不連続性を考慮できる方法を用いることとした.とくにき裂の先端を含む部分の要素(TIP要素)の作成手順を確立できた.結合力モデルについてはCFRP構造の破壊進展解析で用いられるCamanhoモデルについて検討した. 上記検討結果に基づき2次元問題についてはプログラム実装が終了し、開発プログラムを用いた検証解析を実施した. また、現実的な問題を扱う場合には、ニュートンラプソン法による反復計算が用いられる陰的解法では、収束性の問題が生じることが予想される.そこで、このような問題に対処するために、開発プログラムに動的陽解法機能を実装し、検証解析を実施した.
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今後の研究の推進方策 |
研究目標である、CFRP積層構造におけるはく離とマトリクス割れの連成現象のシミュレーションは、三次元解析を実施しないと有意な結果が得られない.開発した基本プログラムを元にして、三次元問題を扱えるプログラムを開発する必要がある. 三次元化の方法としては、2通りの方法が考えられる.一つは、二次元三角形要素を積層方向に掃引して得られる三次元五面対体要素を用いる方法、もう一つは三次元四面体要素を用いる方法である.前者は、適用範囲は平面状の積層板に限定されるものの、すでに開発済みの二次元プログラムをベースに比較的容易に拡張できる.後者は、汎用性があるものの、レベルセット関数で表現されるき裂形状に応じた要素の分類が必要となる.今後は、この2通りの方法を並行して、プログラム開発を進める. また、現状の開発プログラムの解析結果の可視化処理は、商用プログラム(GLView)を用いている.開発プログラムの実行環境の制約をなくすために、可視化処理を、フリーソフト(Paraview)で実行できるように改良することも今後の課題である.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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