延性損傷の進展と結晶方位の関係を実験的に検証するためには単結晶を用いたX線回折法が有効である。本研究では、大型放射光施設SPring-8において、白色X線を用いたアルミニウム単結晶の延性破壊進展挙動の検証を行った。その結果、延性損傷進展に伴い発生した転位セルの回転は水平面内に比べ垂直面内で大きいことがわかり、引張負荷によるAl(111)面のすべり活動が転位セルの生成と回転に大きな影響を及ぼしていることが考えられた。また、転位密度は材料の延性損傷が進むことで全体に増加したが、ノッチ近傍では相対的に低かった。延性損傷進展によるひずみエネルギーの解放の影響が考えられた。
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