基材一体のコーティングシステム材のコーティングの弾性係数を共鳴超音波スペクトロスコピー(Resonance Ultrasound Spectroscopy: RUS)により評価し,損傷が発生した際の見かけの弾性係数の変化から,損傷を非破壊でその場評価する手法の開発を行った.本年度および研究期間全体の成果は以下のようにまとめられる. 1.RUSにより,高温下におけるコーティングの全方向弾性係数を基材一体のシステム材のまま計測する手法を構築した. 2.耐熱コーティングCoNiCrAlYおよび遮熱コーティングYSZの全方向弾性係数を基材一体のまま評価した.その結果を機械的負荷法と比較し,妥当性を確認できた. 3.有限要素法を用いて損傷が発生した場合の振動解析を行い,損傷が生じた際のコーティングの見かけの弾性係数の変化を調査した.内部の損傷(界面はく離,界面き裂)に対しては全方向の見かけの弾性係数の変化が小さくその変化を実験的に検出することは困難と考えられた.一方,表面に現れる縦割れき裂に対しては見かけの弾性係数(特に面内方向のヤング率)の変化が大きく,その変化を利用すれば,縦割れの深さや長さを定量的に評価可能であることが分かった. 4.上記3を実験的に確認するため,人工的に表面縦割れき裂を導入した遮熱コーティングシステム試験片で損傷評価を試み,見かけの弾性係数(面内方向のヤング率)の変化から縦割れき裂を定量的に評価できることを示した.
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