研究課題/領域番号 |
24560097
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
鈴木 新一 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60135415)
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キーワード | Fracture / Crack / Energy release rate / Stress intensity factor / Opening displacement / Impact engineering / Bifurcation / Optical method |
研究概要 |
1.平成24年度に得られた高速分岐き裂に関する研究結果を、“The 9th International Conference on Advances in Experimental Mechanics”(英国)において発表した。また、分岐切欠に関する結果を”The 30th Danubia-Adria Symposium on Experimental Mechanics”(クロアチア)において発表した。 2.アラルダイトB中の高速分岐き裂において、一つの枝き裂の開口変位がき裂先端からの距離rの1/2乗に比例するき裂が存在するか否かを調べた。その結果、アラルダイトBにおいては、そのようなき裂が存在しないことが明らかになった。 3.十分発達した高速分岐き裂のき裂開口変位を測定し、2つの枝き裂が持つエネルギー解放率の比を明らかにした。この結果は、日本実験力学会2013年度年次大会において公表された。また、2014年度に国際学術誌に公表予定である。 4.高速分岐き裂を試験片両面から同時撮影し、枝き裂が板厚方向に貫通した2次元分岐き裂エネルギー解放率を測定した。これにより、2次元貫通分岐き裂におけるエネルギー解放率の分配比率を明らかにした。この研究成果は、欧州実験力学会が2014年にイギリスで開く”The 16th International Conference on Experimental Mechanics”において発表予定である。 5.分岐切欠先端の応力場を測定・数値計算し、切欠をき裂と見なす場合の問題点を検討した。その研究成果は、2014年に韓国で開かれる” International Conference on Computational & Experimental Engineering and Sciences”において発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の5項目は、「研究計画調書」及び「平成24年度実施状況報告書」に記載された25年度以降の研究計画である.上述した「研究実績の概要」は、下記の研究計画中の1から4の項目が順調に達成されていることを示している。項目5は、平成26年度に実施される。 1.平成24年度の研究において明らかになった事柄を、国際会議で公表する。The 9th International Conference on Advances in Experimental Mechanics (イギリス, 2013)、The 30th Danubia-Adria Symposium on Experimental Mechanics (クロアチア, 2013)。 2.アラルダイトB中の高速分岐き裂において、一つの枝き裂の開口変位(COD)がき裂先端からの距離rの1/2乗に比例するき裂を選択し、エネルギー解放率の分配を明らかにする。平成24年度に明らかになったPMMA、ホマライト100の結果と合わせることにより、動的破壊力学の実験において標準的に使用される3種類の材料中の高速分岐き裂において、一つの枝き裂の開口変位(COD)がき裂先端からの距離rの1/2乗に比例する場合のエネルギー解放率の分配を明らかにする。 3.十分発達した高速分岐き裂のき裂開口変位を測定し、2つの分岐き裂のエネルギー解放率を求める。これにより、十分発達した分岐き裂の枝き裂のエネルギー解放率の比を明らかにする。 4.高速分岐き裂を試験片両面から同時撮影した写真から、枝き裂が板厚方向に貫通した2次元分岐き裂を抽出する。それらのき裂のエネルギー解放率を測定し、2次元貫通分岐き裂におけるエネルギー解放率の分配比率を明らかにする。 5.高速分岐き裂の2つの枝き裂がもつエネルギー解放率の比率を総合的に検討し、国際学術誌に公表する。
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに研究を遂行すると同時に、新たな研究を生み出す実験を開始する。 1.平成24,25年度に得られた研究結果をもとに、高速分岐き裂の2つの枝き裂がもつエネルギー解放率の比率を総合的に検討する。特に、(1)動的破壊靱性値のΓ曲線との関係、(2)分岐前後におけるき裂速度とエネルギー解放率の連続性の問題、及び、(3)分岐過程の3次元性の問題との関連を明らかにする。 2.平成24,25年度に得られた研究結果を,国内及び国際会議で公表する。(1) 日本実験力学会2014年次大会,(2) The 16th International Conference on Experimental Mechanics (イギリス,2014),(3) International Conference on Computational & Experimental Engineering and Sciences (韓国,2014). 3.平成24~26年度に得られた研究結果を、国際学術誌に公表する。Journal of the Mechanics and Physics of Solids, International Journal of Fracture, International Journal of Solids and Structures等への投稿を計画している。 4.新たな研究への発展を目的とし、大型試験片と大型破壊装置を用いた高速き裂分岐の実験を開始する。本研究では長さ300mmの試験片を用いて実験計測を行ってきた。この大きさは通常の材料試験で使用される試験片よりも大きいが、さらに大型の試験片を用いて実験することにより、高速分岐現象と他の高速物理現象との関連性を調査する。
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