• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

界面ナノ組織制御による軽金属溶接法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24560104
研究機関熊本大学

研究代表者

岩本 知広  熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (60311635)

キーワード超音波接合 / 透過型電子顕微鏡 / マグネシウム合金 / ガラス
研究概要

本研究では3つの研究を並行して行っている。本年度のそれぞれについての結果は以下のとおりである。(1)可逆的なナノ構造体を含んだインサート材を用いたMg合金の抵抗スポット溶接法の開発 本年度は、より高密度のLPSO相を含んだMg86Zn6Y9合金をインサート材として市販のMg合金AZ31B薄板同士の抵抗スポット溶接を行った。インサート材なしの直接接合の場合やMg96Zn2Y2合金をインサート材にした場合と比べ、低い溶接電流の領域で接合体が顕著に高い強度を示すことが確認された。接合界面では溶接電流に応じ粒界へLPSO相が析出する様子が観察された。(2)走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡その場観察法によるMg96Zn2Y2合金変形過程の直接観察 Mg96Zn2Y2押出し材に対して応力を加えた場合、クラックはLPSO相内部には侵入する傾向が低いこと、また侵入した場合でもジグザグに進行することなどが明らかになった。これに対して、スポット溶接の溶融組織内をクラックが進行する場合、LPSO相とMg母相との界面でまずボイドが発生し、それらが連結する形でクラックがLPSO相を横切ることが分かった。これはLPSO相の整合析出による母材との主すべり面の共有と、すべり系の数の差に起因するためと考えられた。(3)接合界面にナノ構造体をはさんだ超音波接合法の開発 ガラス表面にAgを被覆しAlと超音波接合した試料に対し引張り試験を行ったところ、破面の微小領域においてAlの延性破壊が観察された。界面では前年度のAl/Mo-ガラス接合とは異なり、反応相Ag2Alが断続的に生成していた。これから本系では反応相生成領域のミクロな分布が全体の強度に影響を及ぼしていることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度以降行う予定であったMg85Zn6Y9板をインサート材としたMg合金抵抗スポット溶接については、低溶接電流で高い接合強度を持つ接合体を作製することに成功した。来年度以降の接合プロセスの解析により本接合法の特性を詳細に明らかにできると考えられる。また電子顕微鏡内引張試験による動的機械特性の解明では、LPSO相の破壊過程が判明した他、ナノAg薄膜を接合界面に挿入した超音波接合についても、接合可能な条件が明らかになってきた。来年度は補足の実験を進めると共にこれら研究の総括を行う。研究は概ね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

本年度の研究結果を踏まえ、また最終年度の総括を鑑み以下の研究を推進する。(1)Mg86Zn6Y9板をインサート材とした抵抗スポット溶接では、接合機構および接合部組織の詳細な解析を行う。接合部の接合中の温度変化測定およびMg96Zn2Y2、Mg85Zn6Y9合金などの抵抗を測定すると共に接合部のより詳細な組織解析を行う。(2)Mg96Zn2Y2同志の抵抗スポット接合では接合法、機械特性など一定の研究成果を得た。これより接合部では、母材とは異なる破壊機構を有する鋳造組織により機械的強度が低下することが明らかとなった。本年度はこれに対して、ガラスの超音波接合をMg96合金同志の接合に応用する。超音波接合は一般的には固相接合であるため、母材の強度を保った接合が期待できる。またLPSO相を含むような2相合金では、超音波接合が組織変化にどのような影響を与えるのか興味深い。(3)超音波接合では表面の状態が、接合過程に大きく影響することが分かっている。そこで、表面の状態を様々に変化させた母材に対して超音波接合を行うことで、その界面ナノ組織に対する影響を明らかにする。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Microstructure of Aluminum/Glass Joint Bonded by Ultrasonic Wire Welding2014

    • 著者名/発表者名
      C. Iwamoto
    • 雑誌名

      Metallurgical and Materials Transactions A

      巻: 45 ページ: 1371-1375

    • DOI

      10.1007/s11661-013-2085-0

    • 査読あり
  • [学会発表] Microstructure of the interface between Al and glass bonded by ultrasonic wire welding2013

    • 著者名/発表者名
      Chihiro IWAMOTO
    • 学会等名
      IJST2013
    • 発表場所
      Suita, Osaka
    • 年月日
      20131127-20131129
  • [学会発表] Ultrasonic welding of Mg-Zn-Y alloy plates2013

    • 著者名/発表者名
      Yuuichi HIGASHI, Chihiro IWAMOTO, Yoshihito KAWAMURA
    • 学会等名
      IUMRS-ICAM2013
    • 発表場所
      Qingdao, China
    • 年月日
      20130922-20130928
  • [学会発表] Mg-Zn-Y合金をインサート材として用いたAZ31抵抗スポット溶接接合体の微細組織2013

    • 著者名/発表者名
      杷野 満, 岩本 知広, 横井 裕之, 河村 能人
    • 学会等名
      日本金属学会秋期講演大会
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      20130917-20130919
  • [学会発表] Mg-Zn-Y系マグネシウム合金溶接部の組織と機械特性2013

    • 著者名/発表者名
      岩本知広、野田直毅、河村能人
    • 学会等名
      日本顕微鏡学会第69回学術講演会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      20130520-20130522
  • [学会発表] Mg-Zn-Y系合金をインサート材としたMg合金の抵抗スポット溶接2013

    • 著者名/発表者名
      岩本知広、杷野満、里中忍、河村能人
    • 学会等名
      溶接学会春季全国大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130417-20130419

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi