研究課題/領域番号 |
24560108
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
石原 正行 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60283339)
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研究分担者 |
大多尾 義弘 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10275274)
亀尾 佳貴 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60611431)
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キーワード | 連続体力学 |
研究概要 |
本研究は,木質材料を用いた製品の合理的な設計手法の確立を目指して,材料定数の含水率依存性を考慮した湿熱応力問題の基礎理論を構築することが目的とし,本年度は以下の成果を得た. まず,木質材料中の水分が木材実質相では溶解水として,空孔相では蒸気として存在するものとし,さらに,溶解水と蒸気の拡散係数が異なるとして,水分の吸着・溶解を考慮した非定常状態での拡散方程式を構築した.得られた拡散方程式を用いて,最も基本的な例として,帯板における1次元非定常湿熱分布を理論解析した.解析結果に対して数値計算を実施することにより,片面で乾燥・常温状態,他面で飽和湿潤・高温状態にある帯板の温度・溶解水・蒸気の分布およびその経時変化を定量的に明らかにした.その結果,溶解水と蒸気の拡散係数の組み合わせにより溶解水・蒸気の拡散現象が質的に変化することを明らかにした.この結果を国際学術誌に投稿し,掲載されることが決定した.続いて,これまでで得られた湿熱場による応力場の解析を実施し,上記帯板が種々の力学的拘束を受けた場合の応力を明らかにした.この成果については,次年度開催の国際会議で発表することが決まっているとともに,学術誌への投稿を準備している. 一方,以後の研究計画において,木質材料の異方性特性が必要となることから,木質材料を多孔質体としてモデル化し,力学的刺激によるリモデリング現象(形態再構築)を記述するための数理モデルを開発,数値計算を実行することにより,多孔質体の形態再構築の方向性を定量的に明らかにした.この成果を国際学会にて発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水分の吸着・溶解を考慮した木質材料中の非定常拡散方程式が構築でき,温度・湿度の分布および経時変化を明らかにしたとともに,木質材料の異方性解明の基礎データとなるリモデリング現象が明らかになったので,本研究は概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,木質材料(製品)の力学的挙動の解明を目標として,「材料定数の含水率依存性・不均質性が製品の力学的挙動に与える影響の検討」に従事する.
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次年度の研究費の使用計画 |
複数の成果発表を同一の研究発表会で行い,旅費に余剰が出たため. 最終年度にあたり,成果発表(口頭・論文)を充実させるために使用する.
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