材料定数の含水率依存性を考慮した木質材料の湿熱応力問題の基礎理論を構築することが目的とした.まず,水分が木材実質相では溶解水として,空孔相では蒸気として存在するものとし,さらに,溶解水と蒸気の拡散係数が異なるとして,水分の吸着・溶解を考慮した拡散方程式を構築した.帯板・円筒における1次元定常・非定常湿熱弾性場を理論解析し,数値計算を実施することにより帯板・円筒の温度・溶解水・蒸気・応力の分布を明らかにした.その結果,提案した拡散方程式が,温度・湿度間の非線形な連成関係を記述できること,水分の吸着・溶解を考慮しない場合には発生しなかった応力が誘起されることが明らかになった.
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