切削加工で生じる被削材の切削工具への凝着は加工仕上げ面の品位や工具寿命に大きな影響を与えることから,この凝着の挙動について切削仕上げ面形状と工具幾何形状に注目して実験的な調査検討を行った. 凝着物は成長・脱落を繰り返す不安定な挙動を示すと一般的に言われてきたが,本研究の結果,凝着が激しく生じるとされるオーステナイト系ステンレス鋼,Ti6Al4V合金,Ni基耐熱合金の切削では,工具に直接凝着している安定層とその表面に不安定層が生成され,高切削速度下でも安定層は消滅しないことが分かった.仕上げ面の劣化は不安定層が厚い場合に起こる.また,安定層の存在が工具の劣化をもたらしている可能性が高い.
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