本研究の目的は,二つの技術的要素の複合による新しい加工法の開発である.すなわち,①「展開ブランク」を容器状に深絞り加工する成形技術,②展開ブランクの隣接フランジ部を摩擦攪拌接合する技術である.しかし,個々の技術分野に未解決・不明な課題があるため,個別な課題を明らかにしたのち,複合加工の開発を行うこととした. 平成24年度には,①に関しては,成形金型の設計・製作を行った.②に関しては,1)使用材料に関する検討,2)回転ツール形状および材質の検討,3)回転ツールの回転速度と接合速度について検討した. 平成25年度には,①に関しては絞り加工を各種のブランク形状について実施し,成形技術を確立させるとともに,課題であった隣接フランジの接触開始点の移動について明らかにした.また,当初の計画にはなかったが弾塑性有限要素法解析を行い,実験結果との比較・検討を行った.②に関しては,実験的に接合特性を明らかにした.当初予定していた材料A5052-Oに加え,A5052-H34材についても接合実験を行い,接合強度等を比較検討することにより,当初の予定より広い研究領域で成果を得ることができた. 平成26年度には,二つの基礎技術について,個別には一定の成果を得ることができたことから,これらの技術を組み合わせて,絞り加工と接合加工を同時に行う複合加工を試みた.角筒容器の成形であることから,接合するべき個所は4か所あるが,当初は,1か所の接合を実施した.この接合により,個別な基礎技術の段階では明らかにならなかった課題について検討を行った.特に,加工の進行に伴って、隣接するフランジが接触を開始する点Cが移動することが摩擦攪拌接合に及ぼす影響について明らかにした.
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