研究課題/領域番号 |
24560139
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
丸茂 康男 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (90199927)
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研究分担者 |
阮 立群 熊本大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30244106)
原田 博之 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (90145285)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 成形加工 / トライボ条件 / 欠陥評価 / 超音波計測 / 難加工材 / センサー / 加工特性 |
研究概要 |
平成24年度は,下記の項目を実施した. (1)金型と被加工材料間の摩擦状態や潤滑剤挙動を検討するために基礎実験を実施した.摩擦接触モデルを提案し,液体潤滑剤の潤滑剤挙動や接触率の変化を超音波計測により検討することができた.また,固体潤滑剤に対しては,潤滑剤を考慮した成形の数値シミュレーションを現有のDEFORM-3Dを利用し実施し,潤滑剤挙動やみかけの摩擦係数の変化を検討することができた.(2)加工用モデル試験装置の設計と試作を行った.加工部の加熱とその他の部分の冷却ができ,温度コントロールができるようになっている.この試験機は,加工部の部品を変更することで,異なる部品の試験に応用できる.加熱部および冷却部の設計においては,事前に熱解析シミュレーションを実施し,この結果にもとづいて設計を実施した.(3)マグネシウム合金の摩擦試験にもとづいてトライボ特性を検討した.(4)極薄板や金属箔等の板厚が極めて薄い条件での加工特性の検討を行った.具体的には,深絞り性や曲げ特性の検討を進めた.極薄板や金属箔などの難加工材の加工においては,画像センサーや複数の方向の荷重を検出するセンサーなど種類の異なるセンサーの利用により加工中の成形状態の正確な把握や制御が可能となる.(5)連携研究者が管理運営するサーボプレスを利用し,潤滑剤挙動の評価やしわ評価のための基礎試験を実施した. 上記項目において,項目(1),項目(3),項目(5)は平成25年度以降の実施項目であったが,これらの内,一部を先行して開始することができた. 上記の成果に基づいて,塑性加工成形品の欠陥の発生状態,金型と被加工材料接触界面における摩擦潤滑状態(トライボ状態),成形状態や成形特性を評価することが可能となる.これにより,極薄板材,金属箔やマグネシウム合金などの難加工材の高品質なプレス成形加工技術を確立することができる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は,下記の項目を実施した. (1)金型と被加工材料間の摩擦接触状態や潤滑剤挙動を検討するために基礎実験を実施した.(2)加工用モデル試験装置の設計と試作を行った.(3)マグネシウム合金の摩擦試験にもとづいてトライボ特性を検討した.(4)極薄板や金属箔等の板厚が極めて薄い条件での加工特性の検討を行った.(5)連携研究者が管理運営するサーボプレスを利用し,潤滑剤挙動の評価やしわ評価のための基礎試験を実施した. 上記項目において,項目(1),項目(3),項目(5)は平成25年度以降の実施項目であったが,これらの内,一部を先行して開始した.計画は概ね順調に進展しており,平成24年度の研究計画を進めつつ,平成25年度予定の計画も先行して進めることができた.
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今後の研究の推進方策 |
塑性加工成形品の欠陥の発生状態,金型と被加工材料接触界面における摩擦潤滑状態(トライボ状態),成形状態や成形特性を評価するために下記の項目を実施する. (1)極薄板,金属箔およびマグネシウム合金材などの難加工材の加工特性(絞り特性,曲げ特性,摺動曲げ特性,しごき特性,しごき曲げ特性,圧縮・引張特性など)の検討,(2)試験装置の改良,(3)極薄板,金属箔およびマグネシウム合金材などの難加工材の加工状態計測のための計測手法およびセンサーの検討(異なる種類のセンサー利用の検討),(4)極薄板,金属箔およびマグネシウム合金材などの難加工材を用いた欠陥発生と超音波反射特性の関係調査,(5)ポンチストロークに応じた好適なしわ押さえ力の負荷経路検討,(6)しわ発生と超音波反射強度の定量的関係の調査(しわ高さやしわの周期が超音波反射強度に及ぼす影響を検討する.),(7)金型と被加工材料間の摩擦接触状態や潤滑剤挙動の検討の継続(摩擦モデルの検討を含む),(8)結晶粒度,表面粗さおよび機械的特性がしわ発生やトライボ状態へ及ぼす影響の解明,(9)潤滑剤特性のトライボ状態への影響の検討の継続(液体潤滑剤,ペースト状潤滑剤,固体潤滑剤について検討する.),(10) 成形性向上のための具体策の提案,(11)サーボプレスによる生産への応用試験(生産への応用試験を実施する.基礎試験で得た知見を適用する.応用試験においては,連携研究者が管理運営するサーボプレスを利用する.)などを実施する. 上記で得られた成果の総合的評価を行う.研究のまとめを行なうとともに,新たな問題点を明らかにする.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度(平成25年度)使用額(B-A)が生じた状況 現有の機器やソフトウェア等の利用,部品の自作や組立て等,連携研究者の協力等により,当初の予定より少ない予算で実施することができた. 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画 次年度(平成25年度)使用額(B-A)と翌年度分(平成25年度分)として請求した助成金とを合わせて,主に,装置の改良設計,装置の改良,装置部品,数値シミュレーションソフトウェアオプション,制御装置,超音波センサー,画像センサー,荷重センサー,位置決めユニット,加工材料,潤滑剤,加工工具などに使用する予定である.
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