研究課題/領域番号 |
24560140
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
岩井 学 富山県立大学, 工学部, 講師 (30363873)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Electrolytic machining / Diamond tool / Electrically conductive / CVD diamond film / PCD / Surface finishing |
研究概要 |
自動車や航空機に用いられる高Siアルミニウム合金などの量産加工にはCVDダイヤモンド膜を被覆した切削工具が使用されている。現在市販されている当該工具の表面粗さは1µm程度であるが、切削性能を向上させるためにはより平滑なダイヤモンド被覆膜表面を得ることが望まれている。本研究では、エンドミルやドリルなどの複雑形状を有するダイヤモンド被覆工具等の表面性状を向上させるための方策として、導電性ダイヤモンド膜を電解仕上げする方法を提案した。 平成24年度は加工条件の把握を行った。CVD合成中にホウ素(ボロン)をドープし導電性を付与したCVDダイヤモンド膜に電解加工法を適用した。その結果、Rz=0.1µm以下の平滑面に加工できること、電流密度を高くすると加工能率が増大することが分かった。また放電加工後の表面も電解仕上げにより平坦化できることも分かった。 導電性CVDダイヤモンド膜への電解仕上げが可能であったことより、導電性を有するダイヤモンド粒子を原料とする導電性PCD(原料ダイヤモンド粒子径10µm)への電解を試みた。その結果、導電性PCDのコバルトバインダ部が選択的に除去されることなく、ダイヤモンド粒子表面の凹凸が平滑化された。 加工能率を改善するにはパルス電源、両極性電源、超音波加振電極法の採用が有効であると考察し、次年度以降にその効果を調べることにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
幅広い条件で加工性能を把握するため特殊電源の製作をメーカーに依頼していたが平成24年度中に完成に至らなかった。当該年度に得られた最適条件を特殊電源が納入される平成25年度に採用し、加工能率および表面粗さを満足する条件を把握する必要がある。また電解による除去機構は酸化反応に起因していると推察したが、電解加工液の成分分析等を行い十分に考察する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
最適電解条件(電解液、電解条件、パルス)を把握するために製作した特殊電解電源を採用し、電解加工性能の向上を検討する。また、ダイヤモンドコーティングエンドミル・ドリルへの適用を念頭に、棒状導電性CVDダイヤモンド膜テストピースを回転させて電解仕上げ条件を検討する。また、導電性ダイヤモンド粒子を原料とするPCDの電解仕上げ特性を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
加工性能を向上するために、特殊電解電源ユニット(約40万円)を購入する。
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