研究課題/領域番号 |
24560140
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
岩井 学 富山県立大学, 工学部, 准教授 (30363873)
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キーワード | Electrolytic machining / Diamond tool / Electrically conductive / CVD diamond film / PCD / Surface finishing |
研究概要 |
自動車や航空機に用いられる高Siアルミニウム合金などの量産加工にはCVDダイヤモンド膜を被覆した切削工具が使用されている。現在市販されている当該工具の表面粗さは1μm程度であるが、切削性能を向上させるためにはより平滑なダイヤモンド被覆膜表面を得ることが望まれている。本研究では、エンドミルやドリルなどの複雑形状を有するダイヤモンド被覆工具等の表面性状を向上させるための方策として、導電性ダイヤモンド膜を電解仕上げする方法を提案した。CVD合成中にホウ素をドーピングし導電性を付与したCVDダイヤモンド膜に電解加工法を適用し電解加工条件と加工性能の関係を調べた結果、Rz=2~3μmの凹凸のダイヤモンド表面がRz=0.1μm以下の平滑面に加工できること、電流密度を高くすると加工能率が増大することが分かった。 平成25年度は、導電性CVDダイヤモンド膜への電解仕上げが可能であったことより、導電性を有するダイヤモンド粒子を原料とする導電性PCDへの電解を試みた。その結果、導電性PCDのコバルトバインダ部が選択的に除去されることなく、ダイヤモンド粒子表面の凹凸が平滑化されることを明らかにした。加工能率をより向上させるためパルス電流印加法、両極性パルス電流印加法、超音波加振電極法を適用し、加工性能を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
加工能率の向上を目的に特殊電源装置を製作し加工性能を調べているが、安定した加工場状態を得ることができず、加工能率や表面粗さの関係を把握するにはデータが不足している。ダイヤモンドの除去メカニズムは酸化反応に起因していると推察したが、電解加工液の成分分析等を行い十分に考察する必要がある。平成26年度はこれらを解決し、実用的な加工条件を確立する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最適電解条件(電解液、電解条件、パルス)を把握するために製作した特殊電解電源を採用し、電解加工性能の向上を検討する。また、ダイヤモンドコーティングエンドミル・ドリルへの適用を念頭に、棒状導電性CVDダイヤモンド膜テストピースを回転させて電解仕上げ条件を検討する。また、導電性ダイヤモンド粒子を原料とするPCDの電解仕上げ特性を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度、メーカーに依頼して製作した特殊放電電源装置が当初100万円の製作費用を見込んでいたが、メーカーの協力により約40万円で済んだためである。 本年度は最終年度に当たり、応用事例を増やすために材料費の増加が見込まれる。今までに得られた成果を国内外の学会に発表したり、論文投稿するために費用を充てる。
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