研究課題/領域番号 |
24560144
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
坂本 治久 上智大学, 理工学部, 教授 (40276514)
|
研究分担者 |
清水 伸二 上智大学, 理工学部, 教授 (70146801)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 研削砥石 / 作業面状態 / 連続切れ刃間隔 / 切れ刃半頂角 / 実効的砥粒切込み深さ / 砥粒切込みモデル / 比研削抵抗 / 研削仕上面粗さ |
研究概要 |
平成24 年度は,本研究で用いる装置およびシステムの開発を行ってきた.具体的な検討項目は,①作業面統計パラメータ計測システムの開発,②研削プロセスシミュレータの開発である. まず,①の作業面統計パラメータ計測システムの開発に関しては,機上計測した作業面プロファイルの測定値から砥粒切れ刃分布を統計的に把握するための処理ソフトウェアのシステムへの実装を実現した.その結果,本システムによる評価パラメータに「ピーク高さ分布」,「自己アフィンフラクタル次元」,「砥粒切れ刃形状パラメータ(切れ刃半頂角など)」,「連続切れ刃間隔」などを定量化できるようになった. 一方,②の研削プロセスシミュレータの開発に関しては,「研削抵抗変化に基づく実効的砥粒切込み深さ分布」,「砥粒と工作物の接触剛性挙動を考慮した砥粒切込みモデルの構築」,「比研削抵抗の定量化法の確立とその妥当性の検討」,さらには「砥粒切れ刃密度と実効切込み深さを考慮した研削仕上面粗さシミュレーション法の考案」などを実現することができた. これらの成果のうち,特筆すべきものとして,「比研削抵抗の見直し」が挙げられる.従来より単位切りくず断面積に作用する研削抵抗である「比研削抵抗」の定量化は行われてきていた.しかしながら,砥粒と工作物の接触剛性を考慮しない場合,その値は材料の破壊強度の数十倍から百倍以上に達してしまっていた.本研究では,砥石と工作物との接触剛性を考慮した砥粒切込みモデルを確立することにより,実効的に切りくずを生成するために必要とされる接触圧力と弾性的に作用する圧力との配分比を明らかにすることに成功した.そしてこれにより,個々の砥粒切れ刃による実効的な切込み深さを定める指標を得ることができた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本計画で当初より計画していた検討課題のほぼすべてに着手した上で,特に重要性の高い二つの課題,すなわち作業面統計パラメータ計測システムの開発および②研削プロセスシミュレータの開発について,今後の研究推進に大きな力を与える具体的な成果を得ることができた.特に①においては,新たな砥石作業面の評価パラメータとなる「自己アフィンフラクタル次元」の定量化法を確立し,一方,②においては,「比研削抵抗の同定法」と「仕上面粗さ形成モデルの考案」を実現して,本研究の最終目標の達成の中核的成果となる成果を得ることに成功した.ゆえに,本研究はほぼ順調に進んでいるということができる.
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度には,前年度の検討をベースとして,主に作業面状態と研削特性の関係を実験的に明らかにし,研削理論に基づいたスキルフリー研削の基礎となる実験データの収集を行う.具体的な検討項目としては,①ドレッシング条件と研削特性の関係の実験検討,②作業面状態と砥石剛性の関係の明確化および③研削条件と作業面状態が研削特性に及ぼす影響の明確化の3本柱とする.
|
次年度の研究費の使用計画 |
上述のように,平成25年度は研削実験に基づく検討が主となる.このため,研削砥石や工作物あるいはドレッサなどの実験消耗品の確保を中心として予算執行を行っていく.また,昨年度の成果についての発表・公開に対しても積極的に活動していく予定であり.国際会議の参加のなどのための支出も予め見積もっておく必要がある.
|