研究課題/領域番号 |
24560144
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
坂本 治久 上智大学, 理工学部, 教授 (40276514)
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研究分担者 |
清水 伸二 上智大学, 理工学部, 教授 (70146801)
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キーワード | 研削加工 / スキルフリー / 砥石作業面 / 仕上面粗さ / シミュレーション |
研究概要 |
平成25年度は,前年度に構築した実験装置・システムを用いて,研削仕上面の計測とシミュレーションに関する実験的検討を行った.具体的課題は,①作業面プロファイルに基づく研削仕上面粗さのシミュレーション手法の考案,②研削砥石の3次元プロファイルの機上計測,および,③研削仕上面の3次元シミュレーションの試行,である. ①については,具体的にシミュレーション方法を提案できた.提案手法では,砥石作業面の3次元的プロファイルと実効的切込深さ分布から研削仕上面の3次元的粗さプロファイルを生成できる.幾何学的なシミュレーションでは実験値より粗さが桁違いに大きくなるが,提案手法では,それを砥粒支持剛性を考慮することで改善している. 一方,②については,研削盤上にレーザ変位計を直接設置することにより,研削前後での砥石作業面プロファイルを3次元的に機上計測可能にした.レーザ変位計の照射レーザのスポット径にほぼ等しくなるように,砥石円周方向および幅方向に10μmの間隔で砥石表面の凹凸高さを計測する.本測定手法は,将来のインプロセス計測を想定して,実研削速度に近い30~45m/sの砥石周速での測定を可能にしている. ③については,焼入鋼SCM440の精密円筒研削を対象に検討した.まず,実研削により仕上面粗さを実測し,次にその際の砥石作業面プロファイルの測定結果に基づいてシミュレーションした結果と比較した.その結果,切れ刃の弾性変位量を10~20μmと見積もると,仕上面粗さ実測値とシミュレーション結果がほぼ一致することが確かめられた. これらの成果で特筆すべきことは,砥粒切れ刃の弾性変位を見積もれば,計測した作業面プロファイルのみで仕上面粗さを予測できることである.今後,砥粒切れ刃の弾性挙動の把握法についても検討していくことが重要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に沿って,昨年度に基本的な実験装置およびシステムを具体化できており,今年度から開発した装置およびシステムを活用した実験結果を得ることができている.得られた結果には,まだ多くの考察すべき内容が含まれているが,最終年度にはそれらの課題を集中的に検討することで,提案した研究計画を達成できるものと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,平成24年度に試作構築した実験装置およびシステムの機能性の向上を図る・さらに,平成25年度の検討により,それらの装置およびシステムを稼働することにより具体的な実験結果およびシミュレーション結果を得られるようになったので,平成26年度には,研削砥石や研削プロセスの条件を幅広く検討することにより,研削加工のスキルフリー化に寄与するプロセスシミュレーション技術の確立を目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末に近い時期の支出物件において,納入業者との納入価格の交渉を通じて見積りとの差異が生じ,平成25年度支給予算額の2.5%の誤差を生じてしまった. 平成26年度の支給額と併せて予算化し,主として研究に要する消耗品の購入に充てる予定である.
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