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2013 年度 実施状況報告書

ナノ改質加工によるバイオ用マイクロツールの表面高機能化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24560152
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

片平 和俊  独立行政法人理化学研究所, 大森素形材工学研究室, 専任研究員 (70332252)

キーワード機械加工 / 表面改質 / ダイヤモンド工具 / セラミックス
研究概要

ナノ精度加工と同時に所望の表面機能を付与するナノ表面改質加工技術を用いて,“バイオ用マイクロデバイス”を創製することを目的として研究を実行している.本年度は,金属系生体材料であるCo-Cr合金に対し,高品位加工と同時に表面改質効果を発現させることを試みた.表面改質加工では#8000砥石による仕上げ加工によって,算術平均表面粗さで5 nm以下という良好な加工面粗さが得られた.さらに,従来法で仕上げた研磨材に比べて,表面改質加工材は優れた表面硬さ,細胞毒性を有することが確認できた.さらに,摩擦摩耗環境下における生体材料の細胞適合性に焦点を絞り,それを評価するための摩擦摩耗/細胞培養複合試験システムを作製し,その性能評価を行った.同システムを用いて,表面改質加工を施したCo-Cr合金の摩擦摩耗が細胞適合性へ及ぼす影響について検討・考察を加えた.その結果,本手法によりCo-Cr合金の表面に特徴的な改質層を付与することで,耐食性,耐摩耗性の向上,コバルトイオン溶出量の低減がもたらされ,摩擦摩耗環境下においても,表面改質加工材は研磨材と比較して細胞増殖率が多くなることが確認できた.一方,医療用微細デバイスの幅広いアプリケーションに対応するため,上記の研削加工法と相補的に作用するダイヤモンド工具によるマイクロミーリング加工,さらにレーザーによる高効率加工にも継続的に取り組んだ.マイクロミーリング加工においては,加工中に工具に付着する生成物を高精度に電解除去し,工具面の品質を常に維持する新しい工具リコンディショニングプロセスを開発し,その効果を検証した.さらに,前年度に導入したナノパルスファイバーレーザーを用いて,金属系生体材料のみならず,SiCやジルコニアといったセラミックスに対し,レーザーによる高効率加工とダイヤモンド工具による高品位加工というハイブリッド加工システムの構築を試みた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

前年度までの取り組みで創製したマイクロ加工によるワーク素材の表面機能改善効果を検証するという当初の計画に対し,使用環境をシミュレートした評価試験を行うための摩擦摩耗/細胞培養複合試験システムを作製できたことが本年度の目標達成のカギとなった.すなわち,作製した摩擦摩耗/細胞培養複合試験システムのインキュベーターにおいても,市販のインキュベーターとほぼ同程度の細胞を培養でき,金属系生体材料の摩擦摩耗環境下での細胞適合性を評価する有効性が確認できた.また,マイクロミーリング加工においては,可視型ツール電解システムを開発することで,工具表面付着物をより高精度に電解除去し,工具加工性能を効率的に維持できるプロセスを確立できた.これにより,微細なバイオ用マイクロデバイスの多数個・連続加工が可能となる.これら開発した装置類を十分に活用することで研究を継続・加速することができたため,当初想定した以上の成果が得られたものと考える.

今後の研究の推進方策

前年度に手配したバイオ用マイクロデバイスの素材(高純度SiC,窒化ケイ素等セラミックス)および,工具リコンディショニングシステム類を十分に活用しつつ,より高精度な三次元微細形状創成を可能とするため,5軸同時制御ナノ加工機上において本手法が実現できるシステムの構築を鋭意継続して実施する.とくに,マイクロ工具の加工性能維持,さらなる高品位微細加工の実現のため,工具表面リコンディショニング処理を様々なアプローチによって実現させる.これまで専用槽内で電解現象を利用する電気化学援用リコンディショニング手法の開発に取り組んできたが,今後は,新しい表面機能制御法として注目されている“大気圧低温プラズマ”を援用し,加工中のクーラント効果を大幅に促進する手法や,導入した小型高電圧電源を利用したマイクロドロップインジェクション原理を援用する手法など,多彩で高機能な手法を効果的に選択適用するマルチアシスト技術の構築を検討する.これらマルチアシスト技術を用いて,工具に付着する加工生成物を高精度に除去し,工具面の品質を常に維持する新しいマイクロミーリング技術の確立を目指す.また,ナノパルスファイバーレーザーを加工スピンドルの同軸上にオンマシンで設置し,レーザーによる高効率加工とダイヤモンドツールによる高品位加工というハイブリッド加工システムの構築も継続的に行う.

次年度の研究費の使用計画

可視型ツール電解実験装置が想定よりも安く作製できたため.
国際ジャーナル投稿,もしくは国内国際会議への参加を予定しており,そのための旅費や論文投稿費(別刷,校正等)などへ充当する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Modification of surface properties on cemented carbide alloys through mirror-quality finish grinding2013

    • 著者名/発表者名
      Katahira, K., Komotori, J.
    • 雑誌名

      The ASME Journal of Micro and Nano-Manufacturing

      巻: vol.1 044501 ページ: 1-5

    • DOI

      10.1115/1.4025462

    • 査読あり
  • [学会発表] 多結晶ダイヤモンド工具による先進セラミックスの微細加工

    • 著者名/発表者名
      片平和俊
    • 学会等名
      科学技術振興機構 産学連携展開部 産学連携支援 新技術説明会
    • 発表場所
      東京

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公開日: 2015-05-28  

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