(1)試作機の設計・製作 昨年度までに,脚機構の基本構成の提案と,1脚のみの試作機による脚の基本性能と問題点の把握が行われた.本年度は,その結果を受けて脚機構の設計の見直しおよび,歩行ロボット全体としての試作機の設計を行った.脚機構は想定していなかった干渉の対策と,剛性不足部分の強化を行った.本体については,3つのモードのいずれの場合においても,脚機構と干渉せず,かつ,この歩行ロボットを用いたサービスを行う機能(ロボットアーム,監視カメラ等)を設置可能なスペースと強度・剛性を有するだけでなく,特に階段歩行を考慮すると重心が高くなりがちなので,階段における歩行安定性を考慮した設計を行った.本体で一番の重量物はバッテリーであり,これが低い位置に配置されるとともに,バッテリーが冷却と本体保護を目的として,高剛性のアルミフレームに収められていることから,これを積極的に利用することにより,本体の軽量化を実現する設計を行った.さらに,バッテリーの交換を容易とする為,昨年度提案した,関節機構と同様にカムレバーを用いたバッテリーの固定方法を採用した.そして,設計見直しをした,脚機構および本体を製作した. (2)小形実験機の設計・製作 ヒトの生活環境を移動可能な大きさの歩行ロボットを用いて実験を行う前に,運動計画や制御方法について検討するための脚機構を含む寸法比を維持した小形実験機の設計・製作を行った.特に小形化すると,サーボモータの出力/質量比が小さくなるため,計画した歩容での歩行を可能とするために各部の軽量化が必要であり,モノコック構造を利用した小形・軽量な脚機構・本体フレームの設計を行った.そして,小形実験機を用いて,歩行実験を行い,提案した機構および脚運動を用いて歩行を実現し,提案した脚機構の有効性の一部を確認した.
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