研究課題/領域番号 |
24560171
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
古谷 克司 豊田工業大学, 工学部, 教授 (00238685)
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キーワード | 搬送 / 薄板 / 進行波 / 空気圧 |
研究概要 |
液晶ディスプレイなどのガラス基板や半導体ウエハのサイズは,年々大きくなっている.これまでに超音波を利用した浮上および搬送が実現されているが,1次元であった.圧縮空気による浮上と超音波搬送の併用では端部でしか駆動できないため,大型化する被搬送物へ対応することが困難である.また,エネルギー効率が悪かった.本研究では,多相の空気流路から空気を吐出・吸引することで空気圧の進行波を発生させ,大面積の板状物体を搬送する方法を開発することを目的とする.本方式は,空気圧を直接制御するため,エネルギー効率が高いという特徴を持つ. 昨年度直径約0.3mmの穴を20mm間隔であけた幅15mmの角パイプを並べた搬送台を製作したが,端で空気流が乱れて動きが安定しないことが実験の結果明らかになった.そのためさらに延長した.これにより,中央部に被搬送物を置いた時に不規則な振動が発生しなくなった.また,各相を独立に駆動できるように配管を改良した.圧縮空気からベンチュリ効果を利用して真空を発生させることで負圧の空気も同時に使用できるようにした.そして,従来方式の電空レギュレータを用いて空気流量を変化させた場合の被搬送物の運動を観察した.被搬送物はアルミ板とした. タフト法により,被搬送物周りの空気の流れを測定した.その結果からは,被搬送物の周囲では掃流になっていると考えられた.そして,被搬送物がわずかに傾いた時に駆動力が発生することが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
被搬送物を駆動するためには,端近くのノズルの吹き出しパターンを調整し,若干傾けることが必要であることが明らかになった.各パイプへ独立に空気を供給できるようにしたため,様々な駆動パターンを試すことができるようになった. シミュレーションも併用して被搬送物周りの空気の流れを解析しようとしたが,被搬送物と搬送台間のギャップ長と被搬送物の長手方向の長のオーダが大幅に異なるため,シミュレーションモデルもしくは数値解法は再検討する必要があることが明らかになった. 搬送台を拡張したことにより空気の消費量が増加したため,エアコンプレッサを増設した.
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今後の研究の推進方策 |
被搬送物を連続的に送る場合には,その位置に応じて空気流パターンを変更することが有効である.反射式フォトインタラプタのような簡易的な非接触式センサを用いて被搬送物位置を検出することを試みる予定である.また,制動力を発生させる空気流のパターンについても,これまでに駆動力を得るために実験したのと同様のプロセスにより明らかにする.これらにより,駆動,停止が自在に行えるようになることが期待できる. 現在はすべてのパイプを独立に駆動しているが,被搬送物の長さとパイプ間隔の比を取ることで規格化して,最小の相数を決定することで,バルブ数の低減を図る.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の消費はほぼ予定通りであったが,平成24年度からの繰り越し分が大半を占めている. 被搬送物の位置を検出するためにセンサおよびインタフェース回路が必要となる.回路は自作するので,電子部品が必要となる.また,コントローラとして用いるパーソナルコンピュータへのインタフェース用拡張ボードが追加で必要になる. 成果発表および情報収集のための旅費も支出する.
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