研究課題/領域番号 |
24560174
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 石川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
加藤 亨 石川工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (50612016)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | メカニカルクリンチング / 接合予測 |
研究概要 |
メカニカルクリンチングは異種金属接合に有効は手段である.しかし,接合予測の研究は始まったばかりであるため,アルミニウム合金板を用いてメカニカルクリンチングの接合予測を行った.板厚は1.5mmに限定して研究を進めた.メカニカルクリンチングの接合性の良否はせん断試験よりも剥離試験の方が顕著に表れるため,昨年度は接合後の剥離強度の予測に着目して研究を進めた. 接合後の剥離試験において破壊モードが2種類存在した.パンチ側板を上側板,ダイ側板を下板と定義した場合,パンチ側面の上板破壊と上下板がS字状に引っかかるインターロック部の抜けの2つのモードである.昨年の研究では両モードのどちらか低い方の荷重が最終剥離荷重として出力されていることが分かった.したがって予測法は2つのモードを個別に予測し,予測結果の小さい値のモードで破壊する剥離強度となる. 2つの破壊モードのうち,パンチ側面の上板の破壊モードは断面観察による板厚と相関があることが判明し,予測式を検討した.しかし予測式の変数は断面観察により求める.そのため純然たる予測法とはなっていない.そのため,今後は断面予測が重要となると思われる.すでに昨年度の研究では断面観察なしで,上板の厚さを判定する方法を試みている.その結果,(ダイとパンチのクリアランス/下板熱さ)と(上板減少率)との間に比例的な関係があることが判明した. 上記の結果により,これまで実験以外に検討手法がなかったメカニカルクリンチ接合方法であるが接合後の上板破壊荷重の予測が完成に近づいた.この研究の成果は,設計段階で強度予測が可能となる最初の段階をクリアしたと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで,多くの研究者,エンジニアが苦労してメカニカルクリンチングの適用検討を進めてきたが,予測法の検討は世界を見ても誰も実現できていない.昨年の研究で,剥離強度の検討を行い,上板破壊モードの予測が可能となった.さらに予測法で用いた断面測定値も予測式の検討ができている.したがって,メカニカルクリンチングの接合性予測研究は順調に進行していると考えている. 今後はもう一つのモードであるインターロック部の破壊が予測可能となれば,予測法がほぼ完成する.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究の主体は上板と下板のインターロック部の剥離荷重の予測法に関する研究である.予測法に使用するパラメータはインターロック量とインターロック角度と考えている.実験とシミュレーションを用いて研究を進めていく.アルミニウム合金板を用いて研究を進めるが,さらに予測法のさらなる拡張のため,板厚変化,板材質変化を進めていく.また現在軟鋼板を入手できたので,軟鋼板とアルミニウム合金板との異種金属接合における予測法に発展させていきたい. また,シミュレーションによる予測にはプログラミングが不可欠である.今後シミュレーションの研究も進め,実験,ひずみ測定値とシミュレーションの3種の結果を用いて予測法の構築を進めていく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
シミュレーションシステム,プレスシステムの導入が必要不可欠である. シミュレーションシステムは約100万円.プレスシステムは150万円ほど必要と思われる.さらに金型類などの消耗パーツの購入も本年度は多くなると考えている.
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