研究課題/領域番号 |
24560174
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研究機関 | 石川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
加藤 亨 石川工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (50612016)
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キーワード | 接合 / 予測式 / 塑性変形 / メカニカルクリンチング / 十字引張試験 |
研究概要 |
軽量化を実現するためアルミ合金の接合をメカニカルクリンチングで検討した.メカニカルクリンチングはパンチで板をダイ内に進入させ,2枚板を重ね接合する.接合された2枚の板はS字状のインターロックを形成し,接合後の強度を得る.接合体であるため,設計要件である接合強度が必要不可欠である.これまでは実験で幾度も試験体を作り,実験により接合後の強度を求めていた.本研究では接合断面形状から接合後の強度を予測する.したがって接合後の強度発生のメカニズム構築が必要である.以降,パンチ側板を上板,ダイ側板を下板とする.昨年の研究から,接合後の破壊状態に2つのモードが確認された.引張試験において上板破断となる場合とインターロックが抜ける場合の2つのモードである.上板破断モードは上板の最小板厚部が破断する.研究の結果,単純引張による破断と考えられる.その結果,上板最小板厚部のリング状断面積を用いて上板破壊荷重が予測可能となり,破断荷重の予測式を構築できた.この式は異種金属でも使用可能であることが実験により明らかになった.一方,インターロックが抜けるモードではアルミ合金板同士の接合条件を用いて検討を行った.インターロックの抜けは下板のS字状のくぼみ部が広がり,上板のS字状の張出部以上に拡大して抜けている.そこで,下板の弾性変形の条件式を構築し,破断荷重の予測が可能となった.今後は異種金属接合において,インターロック部が塑性変形して抜ける予測式の構築が必要である.異種金属におけるインターロックの抜けメカニズム構築を研究し,メカニカルクリンチングの研究のまとめとしたい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メカニカルクリンチングの接合後の破壊形態には2つのモードがあることが示された.この2つのモードにおける破壊強度の予測式が構築できている.当初の計画の70%が達成できた.残りは異種金属接合時における塑性変形をともなう抜けモードの予測式である.現在,塑性変形しながら抜けていくプロセスの検討を進めており,研究は順調に計画通りに進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
メカニカルクリンチの接合形態の良否は引張試験によって判断されてきた.現在までの研究により,引張試験の示す荷重値が予測可能となりつつある.実験はアルミ合金同士の接合を主に研究を進めてきたが,メカニカルクリンチングは異種金属での接合も可能であり,今後の活用が期待されている.本年度は異種金属接合における強度予測式の構築を進めていく.既に,上板破壊モードにおける予測式が異種金属接合に使用できることが明らかになった.今後はインターロックの抜けについて,異種金属接合用の予測式構築を進めていく.
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次年度の研究費の使用計画 |
強度予測を実験主体に実施した.昨年度にシミュレーションを導入予定だったが,上手くできなかったため,本年度再トライを行う. Marcの導入を進める.さらにダイセットの設置を再検討する.導入は早期に実施し,結果を早めに出すよう研究を進めていく.
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