研究課題/領域番号 |
24560182
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高奈 秀匡 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (40375118)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 流体工学 / エネルギー効率化 / 化学工学 / シミュレーション工学 / モデル化 |
研究概要 |
本研究では,ナノ秒パルス放電による高活性化学種の生成過程ならびに流動による高活性化学種の輸送・拡散過程という異なる時間スケール有するマルチフィジックス現象を統合的に解析する手法を創出し,内燃機関およびガスタービンでのプラズマ燃焼促進を目的として高温・高圧の極限環境下における高活性化学種の生成および輸送特性を明らかにするものである。 研究の初年度である平成24年度では,空気・メタン混合気中でのプラズマ化学反応モデルを構築し,ナノ秒パルス放電におけるDBD(誘電体バリア放電)シミュレーション手法を確立した。プラズマ化学反応や光電離過程を考慮したDBDストリーマの詳細シミュレーションにより,ナノ秒パルス電圧印加時におけるストリーマの進展過程およびラジカル生成過程を明にし,非平衡プラズマによる内燃機関の燃焼促進のための圧力および温度に対するラジカル生成特性を示した。さらに,放電エネルギーの定量評価も行い,ラジカル生成のための最適作動条件を示した上で,メタン・空気予混合気の燃焼促進効果を検証した。その結果,印加電圧を増加させると,誘電体表面における荷電粒子の蓄積により,放電電圧がより急速に低下するため,誘電体部でのエネルギー損失が大きくなることや,印加電圧に対し,放電エネルギーに対する酸素ラジカル濃度に最適値が存在することが明らかとなった。また,メタン・空気希薄予混合気における着火遅れ時間は,印加電圧が高く,放電による酸素ラジカルの生成量が大きいほど短くなり,高温・高圧条件下においても,極短時間パルス 放電による明確な着火促進効果が得られた。 本年度により得られた一連の成果は,招待講演および国内外での学会において発表されたとともに,国内学会誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に基づき順調に研究が行われ,国内外での学会発表や招待講演,学術論文誌掲載されるなどの研究成果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,米国オハイオ州立大学において,Adamovich教授との共同研究により,窒素や空気・メタン混合気を対象とした極短時間パルス放電実験を行い,電子衝突に伴う分子解離過程,放電による気体の高速加熱,化学的高活性種の生成過程および燃料酸化反応をCARSやTALIF等の最先端プラズマレーザー計測により明らかにし,プラズマ素反応モデルの妥当性を評価するとともに,高精度プラズマ燃焼反応モデルを確立する。さらに,平成24年度に開発したプラズマ燃焼促進解析コードおよび実験との統合解析から,圧力や温度および誘電体がラジカル生成に与える効果を解明する。さらに,得られた数値計算結果をもとに,プラズマ燃焼促進に関する基礎実験装置および計測系を確立する。国際会議ならびに国内学会に参加し,本研究課題に関する世界ならびに国内における研究動向を調査し,本研究の位置付けを明確にするとともに,得られた成果を適宜発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度における研究費は,主に共同研究のための米国オハイオ大学訪問および研究成果発表および研究動向調査のための旅費に使用される予定である。また,計算機の購入も予定してる。
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