本研究は,ナノ秒という極短時間に高電圧を印加し,非平衡プラズマを生成するナノ秒パルス放電による高活性化学種の生成過程ならびに流動による高活性化学種の輸送・拡散過程という異なる時間スケールを有するマルチフィジックス現象を統合的に解析する手法を創出し,内燃機関およびカスター便でのプラズマ燃焼促進を目的として高温・高圧環境下における高活性化学種の生成および輸送特性を明らかにするものである。 平成26年度においては,研究協力者である米国オハイオ州立大学のAdamovich教授との共同研究により,平成25年度に確立したメタン・空気混合気におけるプラズマ素反応モデルを用い,金属電極間に生成されるプラズマの生成過程および電子衝突反応を起点として形成される反応性化学種を定量的に評価した。また,プラズマに投入されたエネルギー収支を明らかにすることにより,高活性化学種生成のための最適条件を示した。さらに,プラズマにより生成された高活性化学種により,着火遅れが最大で70%程度改善することが明らかとなり,ナノ秒パルス放電による燃焼促進の有用性が示された。平成26年度において得られた一連の成果は国内および国際学会において発表されるとともに,国際論文誌に掲載された。
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