研究課題/領域番号 |
24560183
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
天谷 賢児 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20221731)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 流体計測 / フォトクロミック色素 / 界面流動 |
研究概要 |
本研究はフォトクロミック色素を混ぜた流体に紫外光を照射することで流体自身に直接マーキングを行い,その着色部の移動量や変形をもとに流れの特性を計測するフォトクロミック色素マーキング法についての研究を実施するものである.特に,液体表面の流れ(以下界面流動という)を解析するために,流体表面近傍のみにマーキングする方法を提案し,液体表面の流動特性を解析する手法の確立を目指した.具体的には,液体表面の速度だけではなくせん断,回転,ひずみ速度などの界面流動にかかわる諸量を求める計測手法を構築する. 平成24年度には液体噴流と壁面流を対象に実験を行うための実験装置の製作と,フォトクロミック色素マーキング法を用いた計測のための予備実験を実施した.研究の初年度である平成24年度では界面近傍のみの流体にマーキングを行い,その部分の流動特性を計測する手法を確立することを主眼に置いて研究を進めた.研究の前半では照射レーザー光波長を変えながら界面近傍のみをマーキングする実験を実施した.このために必要な照射レーザー光源として,Nd:YAGレーザーを用い,非線形結晶であるBBO結晶を組合せ,第3高調波である355nmや第4高調波である266nmの紫外光を得ることができた.さらに,比較のための窒素レーザーの準備も行った.さらに,測定系として高速度カメラを購入し,計測システム全体の構築も実施した.平成25年度はこれらの装置を用いて実際の界面流動の計測を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の初年度である平成24年度の当初計画は「界面流動計測のための計測システムの構築」である.より具体的には,界面近傍のみの流体にマーキングを行い,その部分の流動特性を計測する手法を確立することに主眼を置いた研究を進めることが初年度の目標である.これに対して,平成24年度は液体噴流と壁面流を対象に実験を行うための実験装置の製作と,フォトクロミック色素マーキング法を用いた計測のための実験装置を完成することができた.特に,照射レーザー光波長を変えながら界面近傍のみをマーキングするために必要な照射レーザー光源であるNd:YAGレーザーを用い,非線形結晶であるBBO結晶を組合せ,第3高調波である355nmや第4高調波である266nmの紫外光を得ることができた.さらに,比較のための窒素レーザー(既存)の準備も行った.これにより,当初の予定通り最適な波長選定を行うために必要な光源の準備をすることができた.さらに,測定系として高速度カメラを購入し,計測システム全体の構築も実施した.実際に実験を行うための界面流動の試験装置も試作を終了して,その特性を得ることができた.また,様々な流動パターンの可視化も行うことができ,フォトクロミック色素マーキング法で取得するデータと比較するための基礎的な実験データも得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度はおおよそ当初の計画通りに実験の準備を行うことができた.平成25年度は実際の計測実験を開始するとともに,その精度向上を主な研究目的としている.研究を推進するための方策としては,より綿密な実験計画を立てて実験を進めるとともに,その結果の評価を十分に行うことで,成果の内容を把握する.また,研究の推進体制としては博士課程の学生をこの実験テーマに配置しており,比較的早い進度で研究を推進できるようにしている.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は実際の計測実験を進める.本研究で必要となる流動の観察のために必要なデジタル高速ビデオカメラはすでに平成24年度に購入済みである.また,実験装置の試作もすでに完了している.したがって,平成25年度は,本格的な実験を開始後に必要となる装置改良のための消耗品費を主に見込んでいる.また,平成24年度までの予備実験等の成果をまとめて国際会議等で成果の発表を行う予定であり,このための旅費も見込んでいる.なお,平成24年度の段階では実験装置の試作に消耗品を購入したが,試作に必要なものの一部に既存の部品を流用できたために,消耗品費の一部に約7万円の余裕ができた.このためこの経費を平成25年度に持ち越すことになした.本研究は初年度に比較的高価な備品を購入するために,後年度の経費を低めに抑えていたために,25年度の資金に繰り入れることが研究の遂行にあたって有効であると考えている.また,この経費については上記の実験装置の改良のための消耗品として活用する予定である.
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