研究課題/領域番号 |
24560183
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
天谷 賢児 群馬大学, 理工学研究院, 教授 (20221731)
|
キーワード | 流体工学 / レーザー計測 / 界面流動 |
研究概要 |
本研究ではフォトクロミック色素を混ぜた流体に紫外光を照射することで流体自身に直接マーキングを行い,その着色部の移動量や変形をもとに流れの特性を計測するフォトクロミック色素マーキング法についての研究を実施している.特に,液体表面の流れ(以下界面流動という)を解析するために,流体表面近傍のみにマーキングする方法を提案し,液体表面の流動特性を解析する手法の確立を目指している.研究内容としては(1)界面流動計測のための計測システムの構築,(2)測定精度の向上,(3)種々の界面流動現象への適用,および、(4)内部流動と界面流動の同時計測手法の開発の4項目に関して研究を実施することを計画してきた.平成24年度では当初の計画通り,計測システムの構築や計測精度に関する様々な検討を実施することができた.平成25年度は,このうち界面流動現象への適用を行う研究を行った.具体的には,液膜噴流を研究対象として,液膜の形成から破断に至る過程で,液膜がたどる変形過程を精密に測定することを試みた.特に,着色点の相対的な位置関係の変化から,流れのひずみ速度や回転などの種々の物理量の算出を行う手法を構築し,液膜の破断現象と液滴の形成過程の解析を行った.さらに,壁面を流下する液膜の流動特性をここで開発した方法で可視化・解析することを試みた.特に,液膜表面に発生する波の速度と液体の流下速度を同時計測した.その結果,波の速度と流体の流下速度の関係を明確にすることができた.また,同時にレーザー吸収法を用いて波形の計測も行い,流下する液膜の流れ構造を詳細に把握することができた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の研究実績の内容でも示した通り,当初の研究計画で実施を予定していた研究項目について,具体的な実験データを取得することができた.したがって,おおむね順調に研究が進展できていると判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度が本研究の最終年度になるが,この年度では当初の研究予定通り,界面流動だけではなく液体内部の流動状態を同時測定することを試みる.これにより液体内部の3次元的な流動状態が,液体表面の2次元的な流動にどのような関係があるかを実験的に検証する予定である.このために液体内部の解析にはPIVを適用する.また,PIV用の光源としては532nmの可視光レーザー光源(既存)を活用する.PIVのデータとマーキングされた部分の分離撮影には干渉フィルターなどの光学素子を用いることを計画中である.さらに,研究の最終年度として,本研究で得られた成果やノウハウを整理し,研究論文として学術雑誌に投稿する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究では実験装置の改良と計測システムの開発を行う予定で,改良を重ねながら光学部品などの比較的高価な部品を購入する予定であったが,最初に構築した計測系が順調に機能し,改良に必要な機械部品や光学部品の追加購入が少なく抑えられたために,次年度へ繰り越せる使用額が生じた. 平成26年度は,界面流動だけではなく液体内部の流動状態を同時測定することを試みることにしている.このために内部流動の可視化と計測部分については新しい計測装置の開発が必要である.また,これまでの実験結果から,界面流動と内部流動を同時に計測するためには,計測の同時性を確保するために複雑な光学系の構築が必要になることがわかった。これについては当初あまり詳細に想定していなかったものであり,次年度に回した使用額をこれにあてる予定である。
|