研究課題/領域番号 |
24560185
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
杉山 和靖 独立行政法人理化学研究所, 技術開発ユニット, ユニットリーダー (50466786)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 気液二相流 / 流体工学 / シミュレーション工学 |
研究概要 |
本研究では,毛細血管を通過できる微細気泡の寸法制御を見据え,気液マイクロ二相流の界面の分裂,気泡の生成に至るまでを再現する計算手法を整備してきた.固気液三相接触線の移動を伴う現象において,接触線付近での粘性応力の特異性の除去すべく,接触線付近での速度滑りについて,粘性比,滑り長さをパラメータとして調べた.その結果,気液二相流の場合には,滑り長さの対数の関数として,界面上の点における界面・壁面間の角度,接触線から長さが整理しうることを確認した.この知見は,T字型マイクロチャネル内気液二相流の数値解析を行なう際の実効境界条件のモデル化に有用であると考えられる.また,薄厚チャネルにおける気泡生成機構を対象として数値解析法の開発を進めた.基礎方程式の定式化に際して,計算対象の流路アスペクト比が大きいことから,ヘルショウ流れのように高さ方向の速度分布に放物分布近似を施した.そして,速度ポテンシャルに対するラプラス方程式を境界要素法で解き,二次元オイラー・ダルシー方程式とラプラス則が満足するように界面の移動を更新していく計算スキーム,アルゴリズムの開発,実装を行った.また,Volume-Of-Fluid (VOF) 法に基づく二相流の計算プログラムに,VOF関数の輸送式を安定・高精度に解くため,双曲線正接関数を用いて多次元界面の再構成の行なうMTHINC法の実装を行い,エネルギ輸送収支,格子解像度と解の収束性の影響を調べ,計算手法の検証を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに数値解析手法を開発し,多重スケール解析で必要な接触線周囲の流れ場のデータを取得した.
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今後の研究の推進方策 |
当該年度の研究を継続して行うとともに,T字型マイクロチャネル内気液二相流の数値解析を実施し,気液界面が分裂し,気泡生成に到るまでの動力学的機構の解明を目指す.流路形状や作動条件 (気相・液相流量, 気相流入部・液相流出部圧力) をパラメータとして生成気泡径を求め,そのスケール則について着目する.従来の実験によると,(i) 液相流量を上げると,生成気泡径が小さくなるとともに,生成周期が長くなる傾向にあり,流量がある臨界値を越えると,気泡生成が起きなくなる, (ii) 臨界流量での生成気泡径は,低レイノルズ数流れであるにもかかわらず,粘性影響を指標するキャピラリ数ではなく,慣性影響を指標するウェーバー数で整理できる.本研究では,これらの気泡径制御に関わる実験的事実に着目し,その流体力学的な機能を探る.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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