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2014 年度 実施状況報告書

数値流体力学とPIV実験の融合による移動物体後流現象解析と空力性能推算

研究課題

研究課題/領域番号 24560188
研究機関富山大学

研究代表者

松島 紀佐  富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (40332514)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードPIV計測 / 圧力推定 / CFD-EFD融合 / 後流解析 / 翼 / 自動車 / 空力性能
研究実績の概要

1.「実際問題への適用シミュレーション」残念ながら,諸事情により実際のPIVデータを研究協力者から提供頂くことが困難になったので,「現実の実験」を計算機上でシミュレーション手法を利用して行い,以下の2つの課題のための実際的な模擬流速データを作製し,検討を行った. (1)「境界条件の設定法」については,等エントロピー流れの仮定の下では,圧力が流速の関数で示されることから,等エントロピー性が成立すべき適切な場所に境界を設定することで,PIV実験の情報のみで,圧力推定を行えることを示した.本研究では,等エントロピー性を保証できる境界位置についても検討し結論を得た. (2)「計測誤差に対する解析ついて」PIV計測結果の速度データに含まれる計測誤差が,圧力推定結果にどのように影響するのかを検証するために,流速データに人工誤差を付与して,計測ノイズ誤差を模擬した.付与した人工誤差の大きさは最大10%,平均3%であった.正解の圧力値を境界に与えると内点の誤差の影響は極端に少なくなり相対誤差0.1%未満の圧力推定を行うことができることを確認した.境界圧力値に平均約3%,最大約10%の誤差が混入した場合、圧力推定結果に最大で7%の誤差が表れ,本手法での推定圧力値に大きな影響を及ぼした.計測ノイズ対策として,誤差の傾向を解析して境界において誤差低減処理を行うことでその影響を抑制でき,圧力推定相対誤差を0.61%に減少させることが出来た.
2,ユーザーインターフェースの整備はおおむね完了した.
3.後流現象の数理モデル化 に関しては,モデルを提案し試している.誘導抵抗と呼ばれる揚力に起因する抵抗に関しての精度は良いがそれ以外の抵抗について相対誤差は50%で未だ大きい.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

学術雑誌への論文掲載が未だであるため,やや遅れているとの評価にした.1件は投稿済みで,現在は査読者のコメントを受けて1回目の改訂が終わったところであり,まだ掲載可にはなっていない.出来れば,更に2本程度論文を投稿すべきと考えている.
研究内容では,初期に目標としていた「後流の数理モデル化」は,今後の問題を提起した段階で遅れているが,計測誤差やノイズの模擬解析が,協力関係にある実験担当研究者から好評で,思いがけないことではあったが,2014年度の研究の大きな比重を占めることになった.そのため数理モデルに対して深く追及することが出来なかった.一方,誤差対策の提案やPIV計測誤差が圧力推定与える影響を定量的に見積もれる見通しが出来たことは重要な成果である.

今後の研究の推進方策

現在審査中の論文が学術雑誌に掲載可となるよう努力する.海外雑誌へ投稿を含め,更に2本程度論文を投稿すべきと考えている.
これまで3年の科研費補助期間に蓄えた設備と経験に,最近の統計理論や物理に基づいたデータ修正手法を加味して,現在の圧力推定2.5次元モデルを計測誤差混入に対する効果的な対策を持った圧力推定システムとしてバージョンアップしたい.

次年度使用額が生じた理由

学術雑誌への投稿が遅れてしまい(2015年2月4日投稿)2014年度内に出版することが出来なかった.論文出版費用を2014年度に使い切ることが出来なかった.

次年度使用額の使用計画

投稿論文は現在,一回目の査読が終わり,査読者からの質問への回答を行ったところである.大きな変更は求められていないので,2015年度中には,出版が受理されると思われる.残金はその際の論文出版代金(別刷印刷代金)として使用する.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] 複数面ステレオPIV計測データを用いた翼後流圧力推定計算2015

    • 著者名/発表者名
      山口銀河,松島紀佐,加藤裕之
    • 雑誌名

      JAXA特別資料 第46回流体力学講演会/航空宇宙シミュレーション技術シンポジウム2014論文集

      巻: JAXA-SP-14-010 ページ: 7-12

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 遷音速流における翼後流PIV計測による圧力推定2014

    • 著者名/発表者名
      松島紀佐, 泉知宏, 加藤裕之
    • 雑誌名

      JAXA特別資料 第45回流体力学講演会/航空宇宙シミュレーション技術シンポジウム2013論文集

      巻: JAXA-SP-13-011 ページ: 77-82

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 翼後流断面のPIV 圧力計算における計測ノイズのCFD シミュレーション2015

    • 著者名/発表者名
      南波遼大,松島紀佐
    • 学会等名
      日本機械学会北陸信越支部第44回卒業学生研究発表講演会
    • 発表場所
      新潟県柏崎
    • 年月日
      2015-03-06 – 2015-03-06
  • [学会発表] 自動車後流断面のPIV圧力推定数値計算精度の検討2015

    • 著者名/発表者名
      和田紗矢香,松島紀佐
    • 学会等名
      日本機械学会北陸信越支部第44回卒業学生研究発表講演会
    • 発表場所
      新潟県柏崎
    • 年月日
      2015-03-06 – 2015-03-06
  • [学会発表] 積分方程式法による翼型の逆問題解法2014

    • 著者名/発表者名
      和気洋平,松島紀佐
    • 学会等名
      第28回数値流体力学シンポジウム   講演番号 E02-1
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-12-09 – 2014-12-11
  • [学会発表] PIV計測を用いた自動車後流圧力推定法の基礎検討2014

    • 著者名/発表者名
      中川大輝,松島紀佐,和田紗矢香
    • 学会等名
      日本機械学会第92期流体工学部門講演会  講演番号1030
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      2014-10-25 – 2014-10-26
  • [学会発表] 複数面ステレオPIV計測データを用いた翼後流圧力推定および空力評価2014

    • 著者名/発表者名
      山口銀河,松島紀佐,加藤裕之
    • 学会等名
      日本機械学会第92期流体工学部門講演会  講演番号1016
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      2014-10-25 – 2014-10-26
  • [学会発表] 翼後流のPIV計測データを活用した設計のための空力諸量推算CFD手法2014

    • 著者名/発表者名
      松島紀佐,山口銀河,加藤裕之
    • 学会等名
      第52回飛行機シンポジウム   講演番号 1F04
    • 発表場所
      長崎
    • 年月日
      2014-10-09 – 2014-10-10
  • [学会発表] 超音速流における主翼前縁および後縁の空力特性への影響のCFD解析2014

    • 著者名/発表者名
      竹内和也,直井健吾,松島紀佐
    • 学会等名
      第32回航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム  講演番号 1C06
    • 発表場所
      弘前
    • 年月日
      2014-07-03 – 2014-07-04
  • [学会発表] 直線翼の超音速空力特性のNavier-Stokesシミュレーションによる考察2014

    • 著者名/発表者名
      松島紀佐,直井健吾,楠瀬一洋
    • 学会等名
      日本航空宇宙学会第45期年会講演会 講演番号 C10
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-04-10 – 2014-04-11

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公開日: 2016-05-27  

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