研究課題/領域番号 |
24560191
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
飯田 明由 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30338272)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | MAV / 乱流 / 生物流体 / 空力制御 |
研究概要 |
飛翔昆虫が乱気流中において自由に飛翔できることを確認するため,乱流風洞中において羽ばたき翼,固定翼,回転翼の空力特性を実験的に調べた.非定常流れ場を計測するため,時系列PIVを用いて翼周りの非定常渦度場の計測を行った.また,半導体式歪ゲージを用いて非定常流体力の計測を行った. 実験結果から以下のことがわかった.羽ばたき翼は流れ場のはく離を利用して飛翔に必要な流体力を得ているため,周囲の流れが乱流になってもその影響を受けにくく,主流の乱れと流体力の相関が小さい.一方,固定翼の場合は低レイノルズ数においても翼周りの循環に起因した流体力を用いているため,周囲の流れが乱流になると流体力が大幅に減少した.ヘリコプターのような回転翼の場合,主流に乱れがない環境では,羽ばたき翼よりもより大きな流体力を発生させることが確認された.しかし,固定翼の場合と同じ理由により,主流が乱れた環境では安定した循環が作れなくなり,流体力が減少することが確認された.また,回転翼と羽ばたき翼では羽の運動速度と飛翔速度の比の最適値が異なり,回転翼の場合は,トンボなどの昆虫に比べて,より早い回転数で羽を運度させる必要があり,生物の骨格や筋肉の状況からすると必ずしも最適ではないことがわかった.これらの知見は今後,昆虫型の小型飛翔対を設計する際に重要な知見である.気象状況が安定しており,気体に搭載可能なモーターの容量が大きい場合は回転翼型が有利である.一方,気象条件が安定しない環境では羽ばたき型の飛翔体が適している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・乱流発生装置の改造による渦スケールや乱れ強度の調整が可能となり,実験パラメータを幅広くとることが可能となった. ・小型の回転飛翔体モデルを作成し,羽ばたき飛翔体との定量的な比較が可能となった. ・PIV計測及び流体力計測装置の校正システムを再構築し,データの信頼性が向上した.
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今後の研究の推進方策 |
トンボは前翅と後翅の羽ばたき位相差を用いて,流体力を制御し,進行方向を自由に制御していることを明らかにしたが,乱気流中,特に突風が吹いた場合に翅の位相差制御をどのように用いているかについて調べ,昆虫の飛翔安定性について調べる. (1)突風発生装置の開発:乱流発生装置の制御に加え,風洞に横風発生用の2次ダクトを設置し,流れ場の制御を行なうとともに,MAVの翅の羽ばたき位相差を制御し,突風時における羽ばたき位相差による流れ制御を試みる.突風発生装置と翅の位相差を制御するため機構を開発するための計測制御装置(PC及び計測モジュール)を購入する. (2)羽ばたき位相差と流れ場の非定常計測:上記試作機周りの非定常流れ計測を行い,MAVによる位相制御とトンボの飛翔を比較検討し,MAVの飛翔の効率・安定性について検討する
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次年度の研究費の使用計画 |
羽ばたき機構の作成(500,000円) 乱流発生装置制御装置(400,000円) 旅費(300,000円)
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