研究実績の概要 |
自転円板上の流れ場は,3次元ねじれ境界層の代表的な流れ場であり,これまで様々な研究が広く行われてきたが,公転を伴う自転円板上の流れ場は未だにほとんど明らかとなっていないため,本研究では公転を伴う自転円板上に形成される境界層流れを明らかし, その自公転円板上の境界層流れのパターンを体系化し,境界層遷移を制御することを目的としている。平成26年度は直径300mmの円板を用い,公転半径を円板直径の3分の1(=50mm)の場合の自公転円板上の境界層流れについて,境界層の可視化および熱線流速計による速度場計測および流れ場の可視化を実施し,平成24~25年度に調査してきた直径200mm円板での公転半径100mm,50mmの場合および自転のみの回転円板上の境界層流れと比較検討し,円板直径の影響,公転速度の影響,円板全体が層流域となる低レイノルズ数の流れ場から円板外周部で乱流域まで発達した高レイノルズ数における流れ場まで公転運動が境界層流れに与える影響について明らかにした。 自転のみの場合,ある回転速度以上になると,外縁部に約30本の遷移渦が生じ,その渦は円板上に定在するため,円板に塗布した膜にはそれらの渦による約30本の筋が転写される。しかしながら,自転速度に対して2.5%の公転速度の運動を加えた場合,その自公転円 板上の境界層内の遷移渦は,自公転の方向が同方向か逆方向化によらず,遷移渦の間隔を変えながら移動していることを明らかにした。 さらに,公転速度の割合を5%まで増やすと,遷移渦は定在せず,塗布膜への筋の転写は抑制されることを明らかにした。また,遷移渦による速度変動と高周波の変動とは別に,新たに進行する低周波かく乱の存在を明らかにした。 また,公転速度の割合が7.5%以上になると,乱流化が促進される結果が得られ,高レイノルズ数における乱流域の速度変動場への影響を明らかにした。
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