研究課題/領域番号 |
24560203
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
小原 弘道 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (80305424)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 電場誘起流動 / 細胞操作 / 交流電場 / マイクロ流動 / エレクトロポレーション |
研究概要 |
本研究は,先鋭微小電極近傍局所域に交流電場印加により交流電場誘起流動と粒子の粒動を形成し,この流動・粒動にあわせて,電場印加により細胞膜上に一時的な開口部を形成可能なエレクトロポレーション法を融合したナノ手術デバイス技術を確立するために重要となる,電場誘起流動・粒動現象を解明することを目的としている.細胞内に薬剤ナノカプセルや遺伝子などを選択的・積極的に導入可能なこの技術は,次世代型医療技術の基盤となることが期待され,ガンなどの腫瘍排除,免疫系細胞の制御,遺伝病の克服など幅広い医療への貢献が期待される.当該年度においては,先鋭微小電極の開発を行うとともに,先鋭電極近傍に形成される交流電場誘起流動・粒動の形成機構の解明をおこなうための実験を実施した.具体的には電極部を有するミニチャンバーと倒立型顕微鏡),高速度カメラ,光源により構成さるマイクロPIV/PTVハイブリッド計測システムからなる実験装置を用い実験を行った.マイクロチャンバー内に供試粒子を分散させた水溶液を満たし,先鋭電極を電極1本,あるいは複数の電極を配置し,電場を印加し交流電場誘起粒動・流動を形成した.また,細胞への操作性を確認するために,ラットから分離した肝細胞を用いて,細胞の操作特性を評価した.主な結果として,交流電場印加下においては,この電場形成により電極極近傍領域に電極スケールの粒動・粒動が形成される.電場強健によりその構造は変化し,特に,印加電場周波数によって粒子には誘電泳動力が作用し,電極近傍には電場誘起流動が誘起される.また,細胞懸濁液による実験により,細胞操作の可能性を示した.あわせて,粒子運動・流体解析連成Eulerian-Lagrangian法を用いた数値解析手法により解析的に形成機構の解明を行うため のプログラムを作成し,次年度以降の詳細解析に向けた評価を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時においては前倒し購入予定であった電源装置の購入は次年度に変更しているものの, 研究の進行に関しては,当初の計画への達成度はおおむね順調である.当該年度の報告は少ないが学術的な報告は今年度を中心におこなう予定である.
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今後の研究の推進方策 |
当該年度購入予定であったエレクトロポレーション用の電源ユニットに関しては,開発中の電極特性との関係もふまえ,実際に使用する次年度に購入する計画として変更しており,当該年度成果をふまえより効果的なものを導入するために,次年度上半期に導入をはかる予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度購入を延期したエレクトロポーレーション用電源シーケンサーを購入予定である.
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