研究課題/領域番号 |
24560206
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
澤田 達男 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00162545)
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キーワード | 磁性流体 / MR流体 / 超音波 / 交流磁場 / 振動 |
研究概要 |
磁気機能性流体である磁性流体やMR流体流体中には,磁性体微粒子が含まれており,印加磁場に応じて流体内部に微粒子のクラスターが生じる。このクラスター形成によって,特徴ある変化が流体内に生じる。ここでは,これらの機能性流体を取り巻く環境を動的に変化させ,超音波伝播特性変化,圧力変化,荷重変化, 固有振動数変化といった諸量を詳細に検討することにより,磁気機能性流体の動的諸特性を明らかにすることを目的として研究を遂行している。 1. 超音波伝播特性に関する実験:磁性流体およびMR流体の動特性解析の一つの方法として,超音波伝播特性を調べた。本年度は交流磁場下での超音波伝播特性に関する実験を遂行した。その結果,交流磁場の周波数および磁場強度の増加に伴い,超音波伝播速度が上昇することが明らかとなった。 2. 同調液柱管ダンパーに関する実験:従来より磁性流体を用いた同調液体ダンパーの諸特性を調べてきている。昨年度に引き続き,様々な加振状態において,印加磁場の影響を,内部圧力の動的変化を調べる事で,同調液柱管ダンパーの特性を検討した。磁性流体の挙動を支配する運動方程式は非線形であるが,この方程式の線形化を試み,実験結果と比較することで,その妥当性を明らかにした。 3. 管内流動に関する実験:磁性流体に長時間磁場を印加した後に流動を開始させると奇妙な速度分布が得られる事がわかっている。交流磁場を印加させ,その流動挙動が静磁場と比較してどのように変化するかを調べるために,昨年度終わりに実験装置を新たに製作して,本年度の実験準備を行った。交流磁場発生電磁石の冷却システムが必要なので,本年度はまずこの装置の製作に取りかかった。その後,様々な実験を行った結果,交流磁場周波数と圧力変動の因果関係がをFFT解析で見い出すことができた,しかし,その詳細な検討までには至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述したように,本年度は主に3テーマの実験を実施した。特に交流磁場による非定常磁場下での磁性流体やMR流体の諸特性を調べた。当初の予定通りの実験をある程度遂行することができたが,実験データの検討が不十分であったり,未遂行の実験があるので,次年度はより勢力的に研究に取り組む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
幾つかの新しい実験を開始しているので,引き続き実験を継続して実施していく。1. 超音波伝播特性に関する実験:交流磁場の周波数,および磁場強度をさらに変化させて,磁性流体・MR流体中を伝播する超音波伝播特性を調べる。交流磁場周波数とクラスターの挙動に関連があると予想できるので,フーリエ解析による検討を実施する。本年度,磁場のスイープレートを変化させる実験ができなかったので,次年度は,その実験を行う。 2. 同調液柱管ダンパーに関する実験:磁場印加形態を変化させその影響の検討を行う。 3. 管内流動に関する実験:交流磁場下での充分な実験データが得られていないので,引き続き実験を遂行し,検討を進める。 4. 衝撃緩衝器に関する実験:装置の不具合で昨年度に引き続き本年度もあまり実験が実施できなかったので,装置の改良を行い,実験を遂行する。
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