研究課題/領域番号 |
24560209
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
大山 龍一郎 東海大学, 工学部, 教授 (40233291)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 電気流体力学現象 / Electrohydrodynamics / 気液2相流体 / イオン流 / 数値解析 / モデリング / PIV / MTV |
研究概要 |
本研究はイオン流を伴う気液2相層状流の可視化と定量解析のモデリングを具体化すること、ならびに本現象を解明して応用面を開拓することを研究の目的としている。すなわち、電気流体力学分野で重要な流れ場の解析を対象に、流速ベクトル分布を定量化するために粒子画像流速測定法(Particle Image Velocimetry:PIV)の適用技術をレーザー誘起燐光画像に適用して、気液2相流体の電気流体力学的イオン流場の流速計測技術を開発すると同時に、その電気的駆動力による流体力学的効果の定量解析からコンピュータシミュレーションのためのモデリングを具体的にすることである。 本年度は、流れの可視化実験による現象の定量化を行い、数値電界解析および数値流体解析のモデリングに着手した。特に、気体と液体の界面における流れ場解析は,電気流体力学効果を具体化する目標から極めて重要である。そこで、まず気体側から気液界面および液体内部へ進展するイオン流を定量化するため、実験による放電電流分布の評価を行った。実験では、円柱状容器(直径590mm、高さ130mm)に導電率の異なる液体(0.162, 20.34および34.74 mS/cm)を満たし、その液面から5mm上方の気相に針状放電電極を配置したモデルを供試した。放電電流は、気液界面および容器底部の計9カ所で測定し、イオン流を伴った伝導であることを確認した。その結果、液体の導電率が電気流体力学効果に大きな影響を及ぼすことを定量的に評価することができた。次に、実験より得た結果を考慮しながら数値電界解析を実施した。本年度の研究活動においては、定常状態としての電気流体力学現象のモデリングと解析であったものの、実験結果に整合するイオン流の数値解析および定量的な評価が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の達成目標は,まずレーザー誘起燐光の可視化技術を活用することで、特定な分子の燐光を時間的かつ空間的に微小な時間で追跡するMolecular Tagging Velocimetryシステムの主要構築を完了し,次に科学研究費の公布が開始された時点で流れの可視化実験による現象の定量化を行い、数値電界解析および数値流体解析のモデリングに着手することであった。 コンピュータシミュレーションのためのモデリングについては、実験によるイオン流評価が順調に進んでいることから、予定通り評価対象を用いた数値電界解析およびモデリングの具体化が達成できた。また、数値流体解析のモデリングについては、実験による評価値および数値電界解析による評価値を互いに検討しながら流体駆動力を考察できる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究において解析と解明を目的としているコンピュータシミュレーションのためのモデリングは、気体相と誘電液体相の界面における電気流体力学現象である。本研究ではイオン流を伴う気液2相層状流の解析方法を具体化して本現象を解明しようとする目的から、これまでに流れの可視化による電気流体力学的イオン流場の流速計測法を構築した。これより、研究の進展は電気的駆動力による流体力学的効果の定量解析方法を具体的にするとともに、コンピュータシミュレーションによる電気流体力学的効果を考察できる段階に入った。 平成25年度は,まず本研究の評価モデルにおいて気液2相電気流体力学現象を誘起する電気的駆動力を非定常領域でも解析できるようにするため、過渡状態を含む数値電界解析および数値流体解析のモデリングを実施する。これは実験結果からパルス性の頻度が高いイオン流伝導の知見が得られているため、過渡現象を含む評価方法を加えることによって電気流体力学的効果の定量化が一層明確になるものと考えている。具体的には、まず過渡放電状態にある流れ場において数値電界解析を実施し、その電気流体力学的効果を含めたモデリングを行う。次に、本現象の流体力学的効果が誘電性効力および電気伝導性効力として整理できるため、これらの各抗力は数値シミュレーションのための外力項としてイオン流を伴う電気流体力学場のモデリングに適用する。 また、Molecular Tagging Velocimetryシステムについては一応の評価結果を得ることができた。しかし、最近になって使用していたYAGレーザー装置の不具合(経年劣化による光強度の大幅な低下)が原因となり可視化実験にやや難を残している状況である。YAGレーザー装置不具合の回復には極めて高価な支出を伴うため、現在、研究経費の範囲内でYAGレーザー装置に代わる可視化手法の改良を含めた検討を進めている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究では、電気流体力学現象の定量的なモデリングを具体化するため、実験による結果とコンピュータシミュレーション結果の整合を図りながら進展させている。本年度の主要な研究経費は、コンピュータシミュレーションのためのモデリング、および検証のための実験の経費であった。既受領額累計(a)のうち支出額累計(b)の差引額(a-b)は10,630円であり、この差引額は次年度の研究計画に従って過渡状態を含む解析モデリングを実施するためのソフトウェアと評価実験のための経費に充当させるものである。
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