研究課題/領域番号 |
24560210
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
石川 仁 東京理科大学, 工学部, 准教授 (90311521)
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研究分担者 |
本阿弥 真治 東京理科大学, 工学部, 教授 (30089312)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 流体制御 / はく離 / プラズマ / アクチュエータ / 翼 |
研究概要 |
本年度では,製作したマイクロプラズマアクチュエータの,静止流体内での誘起噴流の可視化を行った.アクチュエータを取り付けた平板を容器内に設置し,スモークミストにより可視化計測を行った.その結果,電極にパルス状の電圧を印加することによって,接線方向に周期的に噴出されるプラズマジェットと,ジェットが周囲流体を巻き込むことにより形成される二次的な渦を確認した.この二次渦は主流のエネルギーを翼面近傍に導入する,運動量利用のはく離制御法に応用できる可能性がある. 次に得られた可視化画像に対して,PIVによる速度場解析を行った.その結果,駆動する電源の条件にもよるが,マイクロプラズマアクチュエータの誘起噴流の流速は0.1m/s 程度であること,周囲流体の連行の規模など,流体制御用のアクチュエータとしての基礎特性を定量的に明らかにすることができた.今後は,同じ駆動条件で効果的な翼のはく離制御が行えるよう,翼面への設置方法を工夫する,あるいはパルス周波数等のアクチュエータの駆動パラメータについて検討を行う,予定である. また消費電力については,実験に使用した本研究室所有の電源装置の最小電圧,および最低駆動周波数でマイクロプラズマアクチュエータが駆動可能であることがわかった.このことで,本マイクロプラズマアクチュエータが流体中で省電力型であることが確認された.アクチュエータの駆動に必要な消費電力の,さらなる低減化を達成するために,電源・駆動周波数の条件や,使用する電源の性能について検討を行う予定である.また消費電力を精度良く求めるため,新しい消費電力計算法についても調査を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
静止流体中での,マイクロプラズマアクチュエータからの誘起噴流の可視化を実施できた.さらに得られた可視化画像から,ジェットの速度や周囲流体の連行の規模が定量的に観察できた. ただし,アクチュエータ自体の翼面上への設置法や電極の形状・個数等については,最適値を求めるため,さらなる検討・実験が必要と考えている.
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今後の研究の推進方策 |
マイクロプラズマアクチュエータを平板翼面上に設置し,風洞試験により通風状態での周囲流体の測定,およびはく離の制御を行う. 平板翼面上にマイクロプラズマアクチュエータを取り付け,まず迎角ゼロの状態で風洞内に設置し,誘起噴流の強さや周囲流体の連行速度をPIV 計測によって測定する.次にマイクロプラズマアクチュエータを設置した平板翼を,はく離が生ずる迎角で風洞内に設置し,その周囲の流れ場や後流を測定する.そのために必要なプラズマアクチュエータ,および実験装置の製作を行う. 次に誘起噴流の直接的な運動量注入,または誘起噴流による二次的な縦渦の運動量導入により,はく離を抑制,あるいははく離領域を減少させることを試みる.はく離領域を含む流れ場の測定は,熱線流速計,熱線プローブおよびPIV解析ソフトウェアによって行う.得られたデータを、通常のプラズマアクチュエータによる平板翼の制御結果と比較・検討する. 次に迎角や主流流速を変えて,はく離の効果的な抑制が可能かどうか,アクチュエータの入力電圧や入力周波数を変化させ,最適値を求める試験を行う.特にはく離点の変動抑制の程度,およびはく離領域の減少の程度を詳細に調べていく.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は予定どおり使用する.物品費としてプラズマアクチュエータの制作費,実験装置の製作費,計測装置である熱線プローブ,解析用ソフトウェア等の購入に使用する. 成果については国内旅費,国外旅費を使用し,発表する.
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