研究課題/領域番号 |
24560210
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
石川 仁 東京理科大学, 工学部, 准教授 (90311521)
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研究分担者 |
本阿弥 真治 東京理科大学, 工学部, 教授 (30089312)
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キーワード | 流体制御 / アクチュエータ / プラズマ / はく離 / 翼 |
研究概要 |
本年度では,マイクロプラズマアクチュエータを平板翼上に設置した状態で,付加する駆動電圧および駆動周波数を変化させた場合の,誘起噴流の速度と消費電力を調べた.また,同じ駆動電圧と駆動周波数の範囲で,通常型のプラズマアクチュエータとの性能比較を行った.その結果,駆動電圧および駆動周波数の増加に伴い,誘起噴流の速度が増加すること,その程度については通常型のアクチュエータと同程度であることがわかった.一方,消費電力については,通常型のアクチュエータのそれよりも大きい結果となった.このことについては,消費電力の測定法や算出法を再検討する必要がある.しかしながら,通常型のアクチュエータでは噴流の誘起に至らなかった低い駆動電圧においても,マイクロプラズマアクチュエータが噴流を誘起できることが確認された.このことは本研究の目的の一つである,マイクロプラズマアクチュエータによる流体制御の省電力化につながる結果である. 次に風洞試験により,マイクロプラズマアクチュエータを平板翼上で動作させた際の,翼の後流を測定した.アクチュエータの設置は,平板翼負圧面で翼前縁から40%および80%の位置とした.熱線流速計により速度2成分の平均速度および乱れ強さを測定した.その結果,制御なしの状態とほぼ同じ分布となり,マイクロプラズマアクチュエータによる後流,はく離制御の効果は大きくは得られなかった.今後は駆動電圧および駆動周波数の最適値の探索を行うこと,また数値シミュレーションや安定性解析を行い,効果的なアクチュエータの設置位置を検討する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度の当初予定である,風洞試験による,マイクロプラズマアクチュエータを表面に設置した平板翼について,アクチュエータ作動状態での周囲の流れ場測定,後流制御効果の検証を行うことができた.ただし,後流制御・はく離制御の効果が想定より小さかったため,アクチュエータの駆動条件や設置位置の他,電極の形状・個数等について検討,さらに実験が必要と考えている.
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今後の研究の推進方策 |
マイクロプラズマアクチュエータを翼表面,および円柱表面に設置し,はく離が生じている状態で周囲流れ場の測定,および後流・はく離の制御を行う.供試翼の一部は既に作成済みである.はく離領域を含む周囲流れ場の測定は,可視化,熱線流速計,およびPIV解析ソフトウェアによって行う.また後流・はく離制御の効果は,翼に発生する流体力を直接測定も検討している. 主流流速や翼の迎角を変化させた場合の,アクチュエータの設置位置,および駆動電圧・駆動周波数の最適値を求める試験を引き続き行う.最適値の探索は数値シミュレーションや線形安定性解析に依って行うことも検討している.また現在使用している翼スパン方向に直線状のアクチュエータでは,はく離抑制の効果が小さくしか得られない可能性があるので,スパン方向の形状を波状や鋸歯状に変化させた新しいマイクロプラズマアクチュエータを制作し,運動量注入によるはく離抑制効果がある,衝突噴流によって形成される縦渦を用いた制御を試すこととする.
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次年度の研究費の使用計画 |
現在研究を行っている,スパン方向に直線状のマイクロプラズマアクチュエータでは,後流制御およびはく離抑制の効果が小さい可能性があることが,本年度の結果として明らかになった.そのため新しい形状のマイクロプラズマアクチュエータの設計・制作を翌年度に行いたいことが主な理由である.また,より良い撮影条件での可視化および高い精度の流れ場計測を行うため,可視化光源やカメラ,計測装置等,必要機器の準備を行いたい,と考えている. スパン方向に波状・鋸歯状の電極形状をもつ,新たなマイクロプラズマアクチュエータの制作に使用する予定である.可視化光源やカメラの購入,消耗品である熱線プローブ,風洞などの装置の制作に使用する予定である.
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