研究課題/領域番号 |
24560216
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
富岡 智 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40237110)
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研究分担者 |
西山 修輔 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30333628)
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キーワード | 三次元非接触計測 / 温度分布 / トモグラフィー / 位相 / 干渉 |
研究概要 |
本研究で検討している気体温度の三次元計測では、複数の方向から測定した干渉画像を計算機にて三次元分布を再構成する。そのためには投影方向が可変の干渉計のハードウェアおよび、それを処理するためのソフトウェア群が必要であり、本年度はこれら両面の改善を行った。 ハードウェアについては、計測時間の短縮を図った。いままでは、一連の計測データを得るために数十分の計測時間を要していた。これは、干渉画像が振動に弱いため、投影方向を変えるたびに発生する干渉計を構成しているミラーの振動の計測への影響を抑えるために、振動が収まった後に計測していためである。この計測時間を短縮するために、幾つかの検討を行った結果、投影方向を連続的に変えながら、干渉画像を取り込む方法に変更し、振動が計測に与える影響を取り除くために、画像の撮影時間をサブミリ秒に短くした。以上により、計測時間は数十秒と短縮することができた。 ソフトウェアは、干渉画像から位相画像を求めるための処理、複数の位相画像から屈折率の三次元分布再構成処理に大別される。位相画像を求めるには、雑音除去、位相情報を含むキャリア周辺信号の抽出、位相連結の三つの手順が必要である。本年度は、位相連結に特化した雑音除去方法の開発、ロバストなキャリア周辺信号の抽出方法の開発、位相アンラッピング手法の高速化を行った。三次元分布再構成については、高精度化のための体系変更のシミュレーションを行った。可変干渉計から得られる計測データは、通常のコンピュータトモグラフィーと異なり、全ての投影方向からのデータを得ることができず、一部の投影データが欠落してしまい、三次元再構成の精度が悪くなることが解っている。これを改善するために、欠落している投影方向の範囲に、方向が固定の投影データを一つだけ取り込むことにより精度の向上ができないかを検討し、この方法が有効であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要に述べた通り、ハードウェアとソフトウェアの両面での改善は、三次元温度分布計測のための準備はほぼ予定通りである。 特にソフトウェアについては、位相連結に特化した雑音除去は国際会議にて報告し、また、ロバストな位相情報を含む信号の抽出方法の開発については論文投稿中、位相アンラッピング手法の高速化については論文執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度(平成25年度)の結果より、測定対象が 1分程度安定なものに対しては、三次元の屈折率分布を求めることが実現できる見込みがでてきた。 最終年度である平成26年度は、ガスバーナーの火炎、あるいは、ロウソクの炎を対象とした実験データの取得、ならびにデータ処理による三次元温度分布再構成を行い、非接触三次元温度分布の計測手法を実証する予定である。 但し、これらの測定対象が常に安定であるとは言いがたい。今年度検討した固定方向の投影画像は、安定な現象であれば常に同じ画像となるはずなので、それをモニタリングすれば、不安定な瞬間の投影画像を取り除くことができる。今後は、相関を用いた不安定投影データの除去を検討する。さら、他のソフトウェアについても、未だ改善の余地があり、引き続き検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用額が生じた主な理由は物品費の支出が小さかったためである。これは、当該年度の途中で予定を変更し、年度当初に予定していた光学系のミラー等のコンポーネントを最小限にとどめ、まずはシミュレーションによりその必要性を確かめる方向に切替えたため、ミラー等の導入を後回しにしたことに起因する。 次年度は、物品としては、ペンディングにしていた光学系を導入し、さらに、解析用の計算機を導入する予定である。また、非接触三次元温度分布計測、ならびに、位相連結アルゴリズムの改良について、学会発表あるいは論文投稿を行うための、旅費、英文校正費、ならびに投稿料として研究費を使用する。
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