研究課題/領域番号 |
24560222
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
酒井 清吾 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (70323110)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | エネルギー利用 / ふく射 / 対流 / 水蒸気 |
研究概要 |
実証実験用の小型実験装置(炉)の構築を行った。効率向上が高温水蒸気の付与によってのみ引き起こされるのかを確認するために必要な小型実験装置の製作では、研究室所有の小型るつぼ炉を発展させ、燃焼ガスの加熱対象への接触時間を長くとるためのらせん流路の効果を確認するとともに、水供給手段および蒸発器(水蒸気発生部)を検討し、潜熱(気化 熱)によるエネルギーロスの低減を試みた。①バーナー近傍に設けたスパイラル管に水を通して水蒸気にする、②水供給部を多孔質体として表面積を大きくとり蒸発を促進する、の手段を検討し、②の方策が有効であることを確認した。また、本格的な実験の前に、バーナーの向き・燃焼ガスの量・空気量等、基準となる燃焼状態を規定するための予備実験を行うことができた。更に、数値解析結果と突き合わせるために必要な実験データをリストアップし、それらの取得のための測定系を検討して、装置のカスタマイズも行った。 ふく射・対流複合伝熱解析コードの構築では、これまでに構築した比較的低温場での解析を目的とした研究室所有の解析コードを発展させ、高温場に適用可能なガスモデルを組み込み、燃焼場を扱えるふく射対流複合伝熱解析コードを構築した。また、温暖化ガスのふく射物性は、各電磁波の波長による値として、比較的低温場用にHITRAN、高温場用にHITEMPというデータベースにまとめられており、ふく射伝熱計算でのデータの取り込みを確認できた。今後、CPUへ負荷と、精度の検証および精度の向上の検討を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験装置の構築ではらせん流路の設置と出口の排気抵抗の調整により、燃焼ガスの接触時間の調整が有効であると確認できた。また、水供給・水蒸気発生機構については、スパイラル管の設置は複雑で困難であることを理解し、より単純な、多孔質体への水滴下と燃焼ガスからの熱による蒸発が有効であることが解明できた。 解析コードの構築では、研究室所有の計算コードを発展させ、高温場でのふく射伝熱解析を行う目途がついた。
|
今後の研究の推進方策 |
小型実験装置での、実証実験による装置各所の温度・圧力・ガス流量等実験データの取得 を行う。効率向上が高温水蒸気の付与によってのみ引き起こされるのかを確認する必要があるため、前年度構築した小型実験装置(炉)を用いて、付与する水分量などの主要パラメータを変化させて実験を行い、燃焼場近傍の温度分布や熱流束分布、加熱対象の温度分布測定など、データの積み上げを行う。 ふく射・対流複合伝熱解析では、実証実験による温度測定など更なるデータの積み上げとともに、高温水蒸気の付与が対流熱伝達・ふく射熱伝達の複合伝熱にどのように寄与しているのか数値解析的に評価することが課題となっている。ふく射伝熱は、熱伝導、対流熱伝達と複合して観察されることが多く、実験で計測することは困難であるため、ふく 射伝熱解析が有効である。ふく射伝熱解析を行う上では、対象の物体や流体のふく射物性の扱いが重要であるが、ふく射物性の波長依存性を考慮した複合伝熱解析はあまり行われていない。熱伝達の促進には対流熱伝達、ふく射伝熱同士の相互作用が重要であるため、前年度に開発した、燃焼が起きている高温場に適用できるふく射・対流複合伝熱解析コードを用いて、複合伝熱場の解析を購入予定のワークステーションで大規模に行い、伝熱促 進の支配因子を検討する。パラメータスタディーを行って、高温水蒸気を用いた伝熱促進機構の解明を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|