平成26年度は,まず水平ヘッダ・鉛直上昇分岐管の状態において冷媒循環装置を改良し,冷媒循環量を従来の装置の5倍以上(低能力時の小型エアコン相当)に増加させて断熱状態における冷媒(R-134a)気液二相流の可視化実験を行った.とくに,分岐管の断面積を系統的に変化させることでその圧力損失特性を変化させながら,ヘッダ内の流動状態と分岐管への気液分配状況を観察した.その結果,分岐管が単純な偏平管で圧力損失が低い場合,気相と液相はともに上流側の分岐管に集中的に分配され,下流域では入口側ヘッダは液相で満たされるとともに分岐管に流入した液相が管内を上下に振動する様子が観察された.この流動状態は,分岐管に微細多孔管を用いた流路で低冷媒循環量時の流動状態に定性的に一致していた. 分岐管断面積を減少させ圧力損失を増加させるにつれて,上流側分岐管への気液分配が減少するとともに入口側ヘッダでは気相が下流域まで存在することで気液界面に波が発生し,この波によって下流側分岐管にも液相が分配されるようになることを見いだした.とくに分岐管断面積を微細多孔管に相当するまで減少させると液相は下流側分岐管に偏って分配され,分岐管断面積が大きい場合とは液相の分配特性が逆転することを明らかにした.こうした液分配の状態は,パラレルフロー型アルミ熱交換器で観察される伝熱面の温度分布とよく対応している. 次に,水平ヘッダ・鉛直上昇分岐管の断熱条件において,各分岐管への気液分配量を計測できるように実験装置を大幅に改造し実験を行った.分岐管を偏平管にした場合について測定を行ったところ,気相と液相はともに上流側約半分の分岐管に偏って分配されていることが明らかになり,流れの可視化観察により得られた結果を定量的に裏付けることができた.
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