研究課題/領域番号 |
24560234
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
春木 直人 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (10311797)
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キーワード | 潜熱蓄熱材 / 色素増感太陽電池 / 金属繊維材 / 光電変換効率 / 熱伝達促進 |
研究概要 |
次世代の太陽電池である色素増感太陽電池は,光入射による発電時,増感色素の過度の凝集や増感色素の励起状態への遷移における温度特性により,一定条件以外では光電変換効率が低下することが普及の妨げとなっている.この色素増感太陽電池の光電変換効率の低下防止を目的とした本研究では,増感色素の光電変換効率の温度依存性の解消のための色素増感太陽電池に組み込まれる温度制御技術の開発を最終目的とした.平成24年度では,まず色素増感太陽電池の光電変換効率の温度特性を調べる測定装置の製作を行い,色素増感太陽電池の光電変換効率の温度特性の測定も行った.その結果,色素増感太陽電池に対して温度制御を施すという本研究の基盤技術が,実際に色素増感太陽電池の光電変換効率の低下の防止に有効であることが実験的に確認された. さらに平成25年度では,潜熱蓄熱材を用いた色素増感太陽電池の温度制御技術の開発を行った.具体的には,日射条件を考慮した条件下でも温度制御が可能な色素増感太陽電池の潜熱蓄熱材による温度制御試験部を製作するとともに,潜熱蓄熱材の持つ低熱伝導性による蓄放熱特性の低下を改善するために金属繊維材を潜熱蓄熱材に混合した場合の蓄放熱特性の測定を行った.その結果,完成した温度制御装置では温度測定と熱量測定が極めて高い精度で測定可能であることが確認された.さらに,金属繊維材を用いた潜熱蓄熱材の蓄放熱特性改善については,金属繊維材混合による有効熱伝導率の向上と液相潜熱蓄熱材で発生する自然対流の抑制が,お互いに影響していることが確認されたことは,平成25年度における本研究実績の最も大きな意義である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次世代の太陽電池である色素増感太陽電池は,光入射による発電時,増感色素の過度の凝集や増感色素の励起 状態への遷移における温度特性により,一定条件以外では光電変換効率が低下することが普及の妨げとなっている.このため本研究の目的である「色素増感太陽電池の光電変換効率の低下防止」を行うため,従来の増感色素の光電変換効率低下の原因の一つである光触媒上での過度の凝集性が起こらない増感色素の探索と,増感色素の光電変換効率の温度依存性を確認し,色素増感太陽電池に組み込まれる温度制御技術を開発することを行う必要がある. この当初の研究計画に対して,平成24年~25年度では,色素増感太陽電池の温度制御技術の有効性について実験的に確認することができたとともに,潜熱蓄熱材を用いた具体的な温度制御方法についての実験装置が完成した.さらに,金属繊維材を用いた潜熱蓄熱材の蓄放熱特性改善の可能性についても知見が得られた. しかしながら,平成24年~25年度に行う予定であった新たな増感色素の探索については十分な成果を得られなかったため,現在までの達成度としては,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては,平成24~25年度に十分な成果が得られなかった新たな増感色素の探索を引き続き行うとともに,完成した色素増感太陽電池の温度制御実験装置を用いて,金属繊維材含有潜熱蓄熱材を冷熱源として色素増感太陽電池に接触させることによって,潜熱蓄熱材によって色素増感太陽電池を伝導によって冷却することで,潜熱蓄熱材の相変化温度における色素増感太陽電池の冷却による実機を想定した色素増感太陽電池の温度制御技術の測定を行う予定である.想定される実験パラメータとしては,潜熱蓄熱材の種類,金属繊維材の種類や形状(繊維径・長さ・絡み),および潜熱蓄熱材への金属繊維材の充填量,充填方法(均一・偏在)等の形状値とともに,実機想定による日射条件である. さらに,実機を想定した「使用条件と目標に満足する相変化温度と十分な潜熱量を有する潜熱蓄熱材の選定」,「目標を満足する冷却性能とするため,金属繊維材の種類や形状(繊維径・長さ・絡み),および潜熱蓄熱材への金属繊維材の充填量,充填方法(均一・偏在)等が冷却効果に与える影響の把握」,「放射による潜熱蓄熱材への蓄冷方法」等の項目の解明が本技術の開発に必要であるため,これらの項目を重点的に解明する. このため,平成26年度の研究費は,基本的には主に色素増感太陽電池の作成や潜熱蓄熱材の購入,および測定装置の駆動に必要不可欠なブライン等の消耗品の購入経費に使用する.さらに,本研究テーマに関連した各種技術の調査,および本研究で得られた研究成果の発表のための旅費としても使用する予定である.
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