研究課題/領域番号 |
24560239
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
浅古 豊 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (20094253)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / マイクロチャンネル / ガス流 / 温度測定 |
研究概要 |
流体が圧縮性流体の場合,摩擦係数を求めるには圧力差だけでなく温度も必要であるが,マイクロチャンネルの場合,温度の測定が容易でないことから等温流れを仮定し,測定した流量と圧力差とから摩擦係数が求められている.しかし,マイクロチャンネル内では加速により流体の温度が低下し,等温流れの仮定が成り立たない.本研究では,等温流れの仮定を用いないで摩擦係数を求めることが本研究の目的である.本年度は, 1) LIF法による静温測定のために必要な蛍光強度と静温の校正曲線を求める実験を行った.ヨウ素を混入した空気に523nmのレーザー光を照射すると温度に逆比例した強度の蛍光を発する.鉛直に設置したペルチェ素子の高温面を伝熱面とする自由対流場を形成し,その境界層内の温度を蛍光強度から求め,熱電対で測定した温度と比較した.その結果,伝熱面近傍の両者はよく一致したが,伝熱面から離れると両者に差異が見られ,この原因について検討中である. 2) ついで,圧縮性流れの連続の式およびエネルギー式を詳細に検討したところ,熱的に絶縁されたマイクロチャンネルの場合には圧力からガスの温度を求めることができることを見出し,マイクロチューブのガス流のシミュレーションデータを用いてそのガス温度算出法の検証を行い,見出したガス温度算出法を用いればガスの温度を予測できることを明らかにした. 3)さらに直径500ミクロンのマイクロチューブに圧力タップを3点設け流量と圧力を測定する実験を行い,摩擦係数を算出しシミュレーション結果と比較し,両者がよく一致することを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように,蛍光強度から求めた温度と熱電対で測定した温度との間に差異が見られ,その原因の究明が課題である.その原因としてシート状のレーザー光に強度分布があり,補正はしているものの補正しきれていない可能性がある.光学系を工夫することでより強度分布の少ないレーザー光を作り,レーザー光の強度分布が原因か否かを確かめており,研究はおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
今後は 1) まず,蛍光強度から求めた温度と熱電対で測定した温度との差異の原因を究明する. 2) また,これまではヨウ素の濃度の影響を調べていないので,ヨウ素濃度を変えて蛍光強度と静温の校正曲線を求める. 3) 蛍光強度と静温の校正曲線が得られたら,初めは比較的大きなミリサイズの長方形のミニチャンネルを用いて,摩擦係数を測定する.実験では貯気槽圧力および流量の測定,LIF法による静温測定,圧力タップによる圧力の測定を行う.LIF法による静温測定ではヨウ素を混入したチッソガスに523nmのレーザー光を照射し,ガスの蛍光強度を冷却CCDカメラで測定し,蛍光強度と静温との校正曲線からガスの静温を求める.得られた結果から摩擦係数を求め,等温流れの仮定を用いて得られる摩擦係数との比較検討を行い,結果の取りまとめを行う.計画の立案,実験装置の設計および製作を前期中に行い,年度内に実験を終わらせる予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は物品費2,180千円,旅費700千円で,物品費では主にCCDスペクトロメーターと冷却CCDを購入する予定である.旅費は国内1回,外国2回を計画している.
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