流体が圧縮性流体の場合,摩擦係数を求めるには圧力差だけでなく温度も必要であるが,マイクロチャンネルの場合には温度の測定が容易でないことから等温流れを仮定し,測定した流量と圧力差とから摩擦係数が求められている.しかし,マイクロチャンネル内では加速により流体の温度が低下し,等温流れの仮定が成り立たない.本研究の目的は直接あるいは間接的に求めたガス温度を用いて摩擦係数を求めることである.本年度は 1)昨年度行ったLIF法の蛍光強度から求めたマイクロチューブから流出する噴流の静温を数値解析の静温と比較検討した. 2)昨年度行った内部に数枚のバッフル板を設けた全温測定筒で測定した全温と理論温度とのずれの原因がマイクロチューブ内での熱伝達であることを数値解析によって明らかにした. 研究期間全体を通じて得られた成果は 1) 熱的に絶縁されたマイクロチャンネルのガスの温度を圧力から求めるガス温度算出式を連続の式およびエネルギー式から導出し,マイクロチューブのガス流のシミュレーションデータを用いてそのガス温度算出式の検証を行い,本研究で見出したガス温度算出式を用いればガスの温度を予測できることを明らかにした. 2) 直径500ミクロンのマイクロチューブに圧力タップを3点設け,流量と3点の圧力を測定する実験を行い,さらにガス温度の算出式から求めた温度を用いて摩擦係数を求め,シミュレーション結果と比較し両者がよく一致することを明らかにした. 3) 内部に数枚のバッフル板を設けた全温測定筒を用いればマイクロチューブから流出する噴流の全温を測定できることを明らかにした. 4) LIF法の蛍光強度から求めたマイクロチューブから流出する噴流の静温は数値解析の静温と定性的には一致するが,定量的にはさらなる研究が必要であることを明らかにした.
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