研究課題/領域番号 |
24560240
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | いわき明星大学 |
研究代表者 |
東 之弘 いわき明星大学, 科学技術学部, 教授 (90183095)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 熱物性値 / 新規代替フロン物質 / データベース / スクリーニング |
研究概要 |
1. 申請者が査読付き刊行論文・国際会議プロシーディングス・学会講演論文集など、国内外に公表してきた約200編の論文に掲載されている新旧冷媒に関する熱物性値情報を、エクセルファイルの形式で入力し、利用・編集のしやすい形でデータベース化した。作業としては、同時に公開し、実測しているデータに関しても逐次入力している。これらの作業を、ホームページ上でも確認できるように、公開する準備も進めている。 2. 流体の基本物性値となる臨界定数、飽和密度の実測値を表す気液共存曲線の実測データを,純物質,混合物ともにグラフ化し、数値データだけではなく,図式化して熱物性挙動が把握できるようにした。 3. 混合物に関しては、臨界軌跡を含む臨界点近傍の熱力学性質を Mathematica を利用して3次元化する検討を行った。このグラフは現在も継続して情報の追加を進めているが、組成依存性を具現化しながら最適組成の選択を行なう上での有効なデータベースになるものと考えている。 4. 地球温暖化防止のためのフロン系冷媒代替品として、現在も新たな低GWP冷媒の開発は進められており、混合冷媒に関しては熱物性情報が皆無のものが多いので、継続して熱物性計測実験を進めている。本年度はオレフィン系列の新冷媒および混合物の熱物性計測も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はデータベースの構築に主眼をおき、過去に公開されている生データを入力して、まず申請者の計測したデータを中心とした新規代替フロン物質のデータベース基盤を作り上げた。200編あまりの論文を精査して、データを統一書式で入力し、さらにグラフ化するところまで完成した。 熱物性値情報は3次元表記が出来上がると、理解されやすい傾向があるので、Mathematica を活用して立体表示にも取り組み、混合冷媒データベースに関してのデモンストレーションが終了した。 さらに、データベースを公開するためのホームページ作成にも着手した。これにより、データベース構築に関しての初年度の計画はおおむね順調に進行していると考えている。 加えて、不足している熱物性値の追加計測も継続しているので,データの蓄積も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の構築したデータベースに、さらに他の研究者の利用できるデータを追加し、まず純物質のデータベースを完成させる。その後、申請者が測定を行なった混合物に関する熱物性実験値に基づいて、混合冷媒に関する熱力学的性質推算手法の開発を進める。 まず混合物の臨界定数の組成依存性について体系的に調べ、臨界軌跡相関式を確立する.そのために追加で必要となる実験は継続して行なう。 作成した推算技術をスクリーニングデータベースを用いて展開させ、さらには実測値がない混合冷媒にまで発展させる。そして実測を行なってその実証を行なう。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の予算執行において、次年度使用額が生じたが、その一因は、学会での成果発表のために準備していた予算が、他の外部予算を受けた出張が重なり執行しなくてもよくなったことが大きい。決して研究に影響が生じたわけではない。今回繰り越しとなる次年度使用額に関しては、成果公開のための学会出張旅費とデータベース追加入力およびホームページ公開のための補助人件費として使用する計画である。
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