平成26年度は研究完了年度に当たり、次の3項目の検討を行いそれぞれ以下の結果を得た。 1.熱分解炉におけるバイオマス材供給時の熱分解の可視化実験:500℃の珪砂流動層へバイオマス材を投入し熱分解状況を観察した結果、投入後2.1sec辺りでバイオマス材が変色し熱分解の進行が確認でき3.6sec付近で完全な変色(熱分解)が確認された。Z=5cmという投入位置では層外への粉末の飛散も見られず、短時間での良好な熱分解が、加熱状態下の画像観察結果からも確認できた。
2.コールドモデルによる2成分系流動層におけるチャーの分離実験:熱分解のために好ましい激しい流動化状態の粒子混合・熱分解セクションと、チャーと加熱媒体粒子(珪砂)の分離に好ましい緩やかな流動化の粒子分離セクションをスリットで連結した2室連結流動層によりチャーの分離を試みた。結果として、混合セクションには傾斜分散板を設置することで粒子循環を良好に生ぜしめ隣の分離セクションに連続的にチャー・珪砂混合粒子を移送し、チャーのみ分離することを可能とした。分離に適した粒子条件に対する運転条件(両層の流速比やスリット幅など)の最適範囲を特定した。
3.バイオマス材供給・チャーの分離に関する連続運転機構の検討:昨年度までの熱分解実験やコールドモデル実験の結果および本年度の実験結果などより、以下のことが明らかとなった。バイオマス材供給を連続的に行うには、加熱媒体粒子である細かな珪砂を容積割合で50%程度バイオマス材に混合して供給すれば、粉末状ではなくても2mm角材まではスムーズに供給できる。一方、連続的な粒子分離を考えた場合は、粉末状の細かすぎるチャーの分離は極めて困難となる。それに対して平均径で0.8mm以上であれば2室連結流動層で良好な分離が可能となる。これらのことから、連続運転に最適なバイオマス材の条件や装置機構を明らかにすることができた。
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